こんにちは、中学生専門・伸び悩み解消学習コーチの久松隆一です。
今日は本の紹介です。
ぼくは自分自身の中に、中学生の自己肯定感を上げたいってテーマがあるので、自己肯定感とか自己効力感に関する本は大体目を通していますが、今日紹介する本は思春期の女子中学生のお子さんをお持ちの方にピッタリな内容で、しかも読みやすい。
この本の著者は、私立鷗友学園女子中学高等学校名誉校長である吉野明さん。44年にわたって女子教育に携わって来られた方だけあって、事例がとても豊富。
実際、僕自身も1000人近くの中学生と接してきましたが、現場で感じた肌感覚とすごくマッチしました。机上の空論になりがちな絵空事の理論ではなくて、現場をよく知ってる人だからこそ、実際に使える知識だなと感じます。
参考になるところはいっぱいありますが、あえて2つに絞ると、
- 女の子のお子さんの自己肯定感を高めたい
- 自立心を高める子どもとの関わり方を知りたい
という方にオススメ。2時間もあればサクッと読めてしまいます。
本の全体の流れ
全体の流れをぼくなりにまとめると、
- 親が受け入れるべきこと
- 思春期女子の特徴とその接し方
- 自己肯定感を高める方法
って感じでしょうか。
最初の「親が受け入れるべきこと」は結構強烈なんですよ、ズバッと切り込んでいます。小見出しをちょっとだけ紹介するとこんな感じです。
CHAPTER1 女の子の親が、まず受け入れるべきこと
01 娘は自分の分身ではない
02 自分の親(娘の祖父母)との関係を振り返る
03 「姉妹みたいな母娘」と言われて喜ばない
04 自分の「自己肯定感」不足を娘で満たそうとしない
05 娘を自分と比較しない
ね、結構ズバッといってるでしょ?笑
それでも内容はすごく説得力があります。僕自身も共感できる部分がいっぱいでした。
ぶっちゃけた話、お子さんの自己肯定感や自信については、親御さんの接し方の影響がかなり大きいです。ある意味で、子どもの自己肯定感を伸ばしたいなら、○○スイッチみたいなお手軽なものはなくて、親御さんが自分自身を変える必要があるってことです。
「人を変えたいなら、まず自分から」って教訓めいたアレです、まさに。笑
お子さんが小学生の間は素直に「はい」と聞いてくれるので、別に自分を変える必要性はなかったんですが、中学生ともなると素直に「はい」とは聞いてくれない。親御さん自身が変わる必要はどうしても出てくるんです。
でも、誰も「親が変わる必要がありますよ」なんて、遠慮して言ってくれませんよね。
直接面と向かって言われたことありますか?
誰も直接言ってくれないところを、この本では最初にズバッと言ってくれます。苦手な人もいるかもしれませんが、子どものために自分も変わりたい、子どもと一緒に成長したいという方は大丈夫です。そもそもこの記事にたどり着いている方は、それだけ勉強熱心で向上心のある方だと思うのであまり心配はしていませんが、念のため。
タテからヨコの関係への移行するべき時期
最後に僕自身が一番ハッとさせられた内容を一つだけ紹介させてください。これは直接的に書いてあったわけではなくて、他の本とかセミナーからぼくが得た知識と絡めて、自分自身が学びを得たことをメモします。ぼくの読書ノートぐらいの感覚でお読みください。
中学生の時期は、本当に言うことを聞かなくなりますが、これはどうやらこういう構造になっているみたい。
「親から与えられた正しさ」
↓
「自分なりの正しさ」
を獲得する時期だから。
小学生の頃は、親の言うとおりに素直にハイと言っておけば、だいたいのことはうまくいってきたし、それがお子さんにとっての唯一の正解だった。でも、中学生になるにつれて少しずつ視野が広がって、色んなことが見えるようになってくる。これまでの正解が揺らぐんですよね。そして自分自身の正解を持つようになる。
これまで「正解」だったものが崩れるんです。
これってめっちゃ怖くないですか?
自分が信じていた「正しさ」が崩れるんですよ。
あらゆる正解が崩れ去っていく中で、「本当にわたしはこれでいいんだろうか?」という自分自身への自己肯定感も崩れ去っていく。だから中学生の時期って不安だし、自己肯定感も下がってしまうんですね。
このあたりは5章に詳しく語られていますが、ベネッセとの共同調査の結果として、中学1→2→3年生になるにつれて、自己肯定感が下がっていく時期だということが分かっています。
でもヤバくないです。どうやらこれは、
「親から与えられた自己肯定感をリセットして、自分なりの自己肯定感を作り上げていく時期」
だと考えられそうです。
実際に、高校1年生から3年生にかけて自己肯定感を取り戻していくというデータも載っています。これは自分なりの自己肯定感ができあがってきたという証拠になります。
じゃあ、中学生の時期に何をしてあげるべきなのか?
それは、自分なりの自己肯定感を作り上げていくサポートをしてあげるべきだ、ってことです。
もう少し具体的に言うと、自分なりの正解を発見できるようにサポートしてあげるべきなんですね。
じゃあ自分なりの正解を発見できるようにサポートするって、実際に何をしたらいいの?
このあたりは具体的に本に載っているので割愛しますが、主なメッセージはこんな感じかな。
- 自己決定の練習をさせよう
- 自由の範囲を少しずつ広げて、選択権を与えよう
- 失敗を許そう
特に最後の「失敗を許そう」ってのは本当に共感です。
植松努さんも「教育とは安全に失敗を経験させること」と言ってますが、失敗からいかに学ぶかが大事なんですよね。それがお子さんの成長を大きく左右します。
「やればできる」を研究してきたスタンフォード大学のキャロル・ドゥエックも、「成長マインドセット」を子どもに持たせるためには、失敗したときの親の対応が大事だと強調されています。失敗しても大丈夫というメッセージを受け取れば、子どもはチャレンジします。そのチャレンジが成長させてくれるわけですから。
ちょっと話が逸れました。
(おうちSTUDYは失敗を推奨するオンラインスクールなので、ついこのテーマに入ると熱くなっちゃいます。笑)
ひとことでまとめると、中学生の時期は「タテからヨコの関係へと移行していく時期だよ」ってことですね。思春期の女子中学生のの特徴をしっかりと掴んだ上で、その接し方や自己肯定感の伸ばし方を身につけていくためのヒントが満載。
アイメッセージをはじめとした細かいテクニックもあり、一読の価値はあります。良かったら読んでみてください!
久松
おうちSTUDYは「できない」を「できる」に変える正しい勉強の仕方が身につくオンラインスクールです。
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