私たちは子どもに何ができるのか?

こんにちは、中学生専門・伸び悩み解消学習コーチの久松隆一です。

 

先日、野球をしていたら肉離れをしてしまいました・・。笑

ほぼ一日中、授業をする時以外は横になっています。その分読書が捗っているのですが、ある本を読んで改めて「私たちは子どもに何をしてあげられるのか?」ということを考える機会になりました。

 

ある本というのは、

『私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み 格差に挑む』

 

もうそのまんまですね。笑

タイトルに惹かれて読んだのですが、副題からもわかるように、非認知能力を育む方法について書かれた本です。

 

ん?非認知能力?なにそれ?

 

って思うかもしれませんが、非認知能力を育むメリットを知っておくことで、あなたの教育方針を大幅に見直すきっかけになるかもしれません。

 

非認知能力を身につけるメリットとは?

一言で言うと、お子さんが将来社会で活躍できるようになります。

最近の研究によって、IQを高めるよりも非認知能力を高めた方が、将来社会で活躍する上で重要だということが分かっています。

 

別の本からですが、2つ例を挙げておくと、

未就学のときに欲求充足を長く先延ばしにできた子どもは、二十五〜三〇歳ぐらいのときの自己申告によると、長期的目標の追求と達成が得意で、危険な薬物はあまり使わず、すでに高い教育水準に達し、肥満指数が大幅に低かった。彼らはまた、対人関係の問題に取り組むにあたって、立ち直りが早く、適応性があり、緊密な関係を保つのが上手だった。
(引用元:文庫版『マシュマロテスト 成功する子・しない子』p37)

 

知能レベルは最高ではなくても、最大限の粘り強さを発揮して努力する人は、知能のレベルが最高に高くてもあまり粘り強く努力しない人より、はるかに偉大な功績を収める。(引用元:『GRIT やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』p113)

てな感じ。

そういえば、『学力の経済学』を書いた中室牧子さんも、この非認知能力の重要性を強調されていたと記憶しています。

 

 

そもそも非認知能力って?

では、そもそも非認知能力って何かっていうと、

非認知的能力とは、例えば、目標に向かって頑張る力、他の人とうまく関わる力、感情をコントロールする力などです。

数がわかる、字が書けるなど、IQなどで測れる力を「認知的能力」と呼ぶ一方で、IQなどで測れない内面の力を「非認知的能力」と呼んでいます。

世界で注目される非認知的能力って?(引用元:すくコム NHKエデュケーショナル https://www.sukusuku.com/contents/qa/143200)

 

大雑把に言うと、人間力のような意味合いでしょうか。ものすごーく大雑把ですけど。

従来は、勉強が出来てなんぼ、IQ高めてなんぼ、ってムードがありましたが、近年の研究によって「それだけじゃダメ」ってことが明らかになってきたというわけです。

 

しかも、おもしろいことに、勉強そのものに対するやる気や継続力も、この非認知能力が影響しているという研究結果も出ています。勉強をできるようにしたい!って場合も、結局はこの非認知能力が大事になってくるんです。

 

 

非認知能力はどうやって学び取るのか?

これまでの研究では、非認知能力が大事だっていうことは分かってきたんですが、どうやったら伸びるのか?ということについてはあまり深く論じられませんでした。

ぼくも、非認知能力がテーマの『マシュマロテスト』や『GRIT』、『やればできる!の研究』など一通りは読みましたが、具体的な方法は書かれておらず、どうしたらいいの?ってなった記憶があります。

そんな問題意識を持ってこの本は書かれています。

 

どうやって非認知能力を伸ばすんだろう?

 

ドキドキしながら、ものすごーく期待して読みました。

 

ただ、読んでみて思ったのが、

 

「スケールが大きすぎて個人レベルじゃ無理・・・」

どうやらこの本は行政レベルの視点で書かれているので、政策にどう活かすかという視点が多くて、ぼくみたいな現場の人からするとちょっと期待外れ感は否めませんでした。

 

でも、それでも後半の一部(16章〜20章あたり)は現場レベルでも参考になる部分がいっぱいありました。

 

てことで、そのあたりを中心に、現場の人間として非認知能力を育むために参考になった部分をかいつまんで紹介します。

 

非認知能力は教わるものではない

そもそも、非認知能力は、これは学校の授業で教えられたり、先生が知識として教えるようなものではなくて環境によって身につくものであるとされています。

 

環境。

これ大事なキーワード。

 

この本の前半部分では、大半を「環境が大事だよ」って強調されています。

非認知能力はスキルではなくて、環境や状況によって身につくものだとされているのです。

 

特に、勉強のやる気を引き出すという意味において、この環境という点が強調されていました。

ここを掘り下げていきましょう。

 

 

環境が勉強へ向かう「粘り強さ」を生み出す

環境が「勉強へ向かうのための粘り強さ」を生み出すとされています。粘り強さというのがまさに非認知能力のことですね。

この粘り強さはスキルのように教えることはできないけど、環境をつくることで粘り強さを発揮させることはできる、とのこと。

 

 

勉強に対する粘り強さを発揮できた子は、他の子とどんなところが違うのか?

 

この研究の第一人者であるシカゴ学校研究協会のカミーユ・ファリントンによれば、

  • 失敗から立ち直るのが早い
  • 何回かテストで失敗しても懸命に勉強することをやめない
  • 複雑な課題やわからない問題にぶつかった時も諦めず、問題を解くための新しい方法を探そうとする

といった特徴があるそうです。

 

これってよく見たら、すべて学力を伸ばす上でとても大事な要素です。

それに、社会に出ても必要な力だと思いませんか?

 

では、この「勉強に対する粘り強さ」を発揮する環境とは、どんな環境なのか?

実はこの粘り強さが発揮できる環境のカギは「マインドセット」であるとされています。

 

粘り強さを発揮できる環境のカギは「マインドセット」

マインドセットとは、言い換えたら「信念」のような意味。

 

以下で紹介する4つのマインドセットがあれば、勉強に向かう粘り強さが発揮されるということが分かっています。

  1. 私はこの学校に所属している
  2. 私の能力は努力によって伸びる
  3. 私はこれを成功させることができる
  4. この勉強は私にとって価値がある

これが粘り強さのカギとなるマインドセット。

 

ここでもう一度「環境」というキーワードを思い出してください。環境によって粘り強さは身につきます。

環境とはそのまま「周囲の大人たち」と言い換えても良いかもしれません。

 

つまり、大人たちがこの4つのメッセージをいつも子どもたちに発信する。そして、子どもたちがそのメッセージを受け止めたとき、子供たちは勉強のための粘り強さを発揮できるというわけです。

 

この4つのマインドセットをもう少し深めてみます。

 

その1「私はこの学校に所属している」

いわゆる帰属意識です。この学校という部分は塾であったり、家庭教師の先生、親に置き変えてみても良いかもしれません。信頼関係ですね。

大人と子どもの間に信頼関係が出来上がっているということが、勉強する上での粘り強さにつながると言うわけです。

 

その2「私の能力は努力によって伸びる」

これについても先生や親の影響が大きいですよね。ピグマリオン効果を知っていますか?これは教師が生徒に対して「君はできる」と信じている場合に、実際にその生徒の能力が伸びるという研究結果です。

その反対に「君はもう伸びない」と思っていたら、本当に伸び悩むという研究結果が出ています。

 

たまに、保護者の方とお話していると、

「この子は本当に地頭が悪くて・・」

とかご本人の前で言ってしまう方がいます。

 

ホントに残念です。

いろんな研究によって、脳はいくつになっても伸ばすことができるということがわかっています。

 

『超一流になるのは才能か努力か?』という本には、努力(限界的練習)によって超一流になれるということが、あらゆる過去の偉人を調査した結果として明確に示されています。

 

アメリカの教育心理学者ベンジャミンブルームも、40年にわたる調査の結果、

「学習できる環境がある限り世界中のほとんどだれでも能力を伸ばすことが可能」

と言っています。

 

一般的にあの子は地頭が良いとか、悪いとかって言われたりしますが、実際そんなものは存在しません。努力によっていくらでも能力は伸ばすことができます。

そして、そのことをサポートする側の先生や親が信じている必要があるし、そんな大人に囲まれた環境に子供を置いてあげることが大事だということです。

 

その3「私はこれを成功させることができる」

これは自己効力感と呼ばれます。この自己効力感が低いと、自分自身が成長できるということを信じられず、失敗した時には「ほらね、やっぱり私はダメなんだ」と諦めてしまいます。もしくは、「どうせやってもできない」と最初からチャレンジすることもしない。

中学生のうちに、そんなセルフイメージを持ってもらうわけにはいきません。

 

もともとそれぞれの自己効力感に差こそあれ、これも環境によって左右されます。

生徒たちが自分の能力についてのメッセージに最も敏感になるのは成功した瞬間ではなく、失敗した瞬間だそうです。

失敗が自分の能力への最後の審判だと思えば、その生徒は諦めてしまいます。失敗は一時的なつまずきにしすぎず、学んだり、改善したりするための貴重なチャンスであるというメッセージを受け取れば、挫折はその生徒をより勉強に打ち込ませる推進力になる(p105から一部要約)

とされています。

 

つまり、先生や親が、失敗に対してどういうメッセージを伝えるのかが重要であるわけです。

手前味噌になってしまいますが、僕はこのおうちSTUDYというサービスをするにあたって、「はじめての方へ」にも書いてるんですが、失敗を推奨しています。

その理由はまさにここにあります。失敗の瞬間こそが、お子さんが成長する一番のチャンスだと思っているからです。

その失敗のときに伝えるべきメッセージは、これは実は失敗じゃないよ。今回は結果に繋がらなかったけどあなたは努力によって伸びてきたし、その努力を続ければこれからも伸びる。その積み重ねの先に望んでいる結果につながるんだよ、というメッセージ。

ぜひ失敗したときにこそ、こうしたメッセージを伝えてあげてください。「ほら見てごらんなさい!あんなにサボってたからよ!」とか「何でこんなに悪かったのかしっかり考えなさい!」とか指摘するよりも、圧倒的に勉強へのやる気を引き出すことにつながります。

 

その4「この勉強は私にとって価値がある」

人のやる気というのは自分にとって意味があると感じていなければ出てきません。雨の日に外に洗濯物を干しなさいと言われてもやる気出ませんよね?笑

勉強も同じで、勉強することが私にとって意味があると感じられていなければやる気は出ません。

サポート側の先生や親はこの大前提をすっぽかしてしまいがち。

今、目の前の勉強がお子さんの望む未来にどうつながっているのか?を明確に示してあげる必要があります。

日々のあらゆる経験を通じて、なぜ勉強するのか?をお子さん自身で掴み取れるような環境にあることが重要ってことですね。

 

まとめ

最後に一言だけまとめと感想を。

非認知能力を育むために私たちは子供に何ができるのか?

この本が示す答えは「下記4つのマインドセットが身につくような環境に置いてあげること」だと言えそうです。

  1. 私はこの学校に所属している
  2. 私の能力は努力によって伸びる
  3. 私はこれを成功させることができる
  4. この勉強は私にとって価値がある

特に、2番目と3番目についてはおうちSTUDYの目指す2つのゴールと合致していますし、ぼくとしては自己効力感や自信の大切さを再認識する機会となりました。

 

正直なところ、以前は「成績アップをサポートすること」をぼく自身が最大の目標にしていたけど、なんとも言えない違和感があって、ここ1〜2年でその違和感の正体がだんだん分かってきたと思っています。その正体がさらにこの本を読んでよりハッキリしたような気がします。

ぼくはおうちSTUDYを通じて何を提供したいのか?

単なる成績アップか?

それとも成長に裏付けられた自信か?

後者の方がお子さんの幸せに圧倒的に貢献できそうだとぼくは感じています。

子どもの未来を切り開く自信と、そうじゃない自信について考えてみた。