勉強のやる気を引き出すためにご褒美はアリ?いろんな研究から分かった5つのポイント

こんにちは、中学生専門・伸び悩み解消学習コーチの久松隆一です。

勉強のやる気を出すためにご褒美をあげた方が良いのでしょうか?ちょっと抵抗があるけど、それで勉強のやる気を出してくれるなら…

お母さん

 

よく保護者の方から、「勉強のやる気を出すために、ご褒美ってあげたほうがいいんでしょうか?」と質問をいただきます。

ご褒美については、ニンジンをぶらさげて勉強させるということ自体が何か嫌だな…って抵抗がある方も多いのではないでしょうか。

 

一方で、ご褒美の効果を実証するいろんな研究もありますし、どうしたらいいのか?って迷ってしまいますよね。

今回はご褒美と勉強のやる気の関係について、いろんな研究結果をもとに5つのポイントに整理してみました。

 

間違ったご褒美を設定すると、逆にやる気を無くしてしまうことも研究によって分かっています。

 

勉強のやる気を引き出すのにご褒美を活用するなら、ぜひ以下に紹介する5つのポイントを押さえておいてください。

 

ご褒美が勉強のやる気アップに使える理由

いきなりですが質問です。

 

次の2つのどちらが良いですか?

A、1年後にりんごを1個もらえる

B、1年と1日後にりんごを2個もらえる

 

ほとんどの人はBを選ぶと思います。ではさらにもう一つ質問です。

 

次の2つのどちらが良いですか?

C、今日りんごを1個もらえる

D、明日りんごを2個もらえる

 

 

あなたはどちらを選びましたか?ある研究によると、2つ目の質問では「C、今日りんご1個をもらえる」ことを選んだ人が増えたそうです。

 

1つ目の質問と2つ目の質問では、なぜ答えが違ってくるのでしょうか?

 

これは行動経済学の研究で「双曲割引」という現象として知られています。

ここでは双曲割引について詳しい説明はしませんが、この実験結果から分かることは、人間は目先の欲望を我慢することが難しい、ってことです。

 

まるで自分の中にこ2人の人間がいるみたいですよね。

1人は合理的に判断できる自分、もう1人は目先の欲望に負けてしまう自分。

 

もし目の前にケーキを出されて「このケーキを今日食べるの我慢すれば、明日2個あげるよ。」って言われたとしても、きっと僕は背の目の前のケーキを食べるでしょう。

甘党なので明日ケーキ2個出されても食べれます。

3個でもいいかも。

 

遠い未来の場合は、合理的な判断を下せる自分が選択権を持つ。

でも、近い将来や今目の前のことについては、欲望に負ける自分が選択権を持っている。

 

イソップ物語の「アリとキリギリス」みたいですよね。

 

この合理的な判断を下せる自分(アリ)と、欲望についつい負けてしまう自分(キリギリス)の2人が、あらゆる選択権を巡っていつも戦っているわけです。

 

でも、できることなら合理的に判断できる自分(アリ)に勝利してもらいたいですよね?

そのためにどんな方法が取れるのか?って言うと「ご褒美」という方法があるわけです。

 

あなたのお子さんの勉強に置き換えてみましょう。

もし、あなたのお子さんがテレビを見たり、ゲームをしたり、LINEばかりして勉強に身が入っていなかったとしたら?

 

それはあなたのお子さんの中の、目の前の欲望に負ける自分(キリギリス)が顔を出しているときです。

本当はなんとか自分の中のアリに顔を出してもらいたい。

 

でも、思い出してください。

近い将来や今目の前のことについては、欲望に負けやすいキリギリスが選択権を握っているのです。

そしてこの選択権をキリギリスはなかなか放す気配はない。

 

双曲割引という人間心理に基づいた習性ですから、そう簡単に打ち破れません。

なんてこった、ですよね。

 

そこで、この状況を打開するために、「ご褒美」を設定するわけです。

合理的に判断できる自分(アリ)が、欲望に負ける自分(キリギリス)をコントロールするために、ご褒美を設定するんです。

キリギリスが顔を現わしている自分の前に、ゲームやテレビやスマホよりも魅力的なご褒美を置いて、「勉強したらこれあげるよ」って伝えて勉強を促すんです。

 

道徳的にこれが良いのかという問題は横に置いておいて、つい自分に負けてしまいがちな人間心理を乗り越えるためにご褒美は使える手段ですよ、ってことですね。

 

 

ご褒美は行動に対して与えるのが良い

二つ目のポイントとしては、ご褒美は行動に対して与えるのが良いとされています。

これはハーバード大学のローランド・フライヤーの研究ですが、次の二通りのご褒美のうちどちらが子供の学力を上げる効果があったでしょうか?

 

一つ目は、学力テストや通知表の成績といった結果が良ければご褒美を与えるというもの。

二つ目は、本を読んだり宿題を終えたり学校にちゃんと出席したりする、といった行動にご褒美を与えるというもの。

 

結果の差は歴然でした。

二つ目の、行動に対してご褒美を与えるというケースの方が学力が上がったのです。

 

これについては、詳しくは中室牧子さんの『学力の経済学』に詳しいですので、もし興味があったらぜひ読んでみてください。

教育に関するいろんな研究結果が分かりやすくかみ砕かれていて、中学生の家庭教育にも活かせる知識がいっぱい詰まっています。

 

 

結果にご褒美を与えると学力が伸びない理由

なぜ、学力テストや通知表の成績にご褒美を与えるということがうまくいかなかったのでしょうか?

その後の調査では、その理由は「勉強の仕方に目が向かないから」というものでした。

通知表や学力テストといった結果に対してご褒美が与えられると、子供達は「次はもっとちゃんと問題を読む」とか「見直しをしっかりする」といったように、テストを受ける際のテクニックについての回答が目立ちました。

結果にご褒美を与えると、本質的な勉強の仕方に目が向いていなかったからだったんですね。

 

この結果について、中室牧子さんは、

アウトプットにご褒美を与える場合には、どうすれば成績を上げられるのかという方法を教え、導いてくれる人が必要であることがわかります。

引用元:『学力の経済学』p37

と結論づけています。

 

これについては、もともと塾の現場に十年以上身を置いた僕自身がずっと抱えていた問題意識とも、かなり一致しています。

子どもたちの勉強のやる気が出ない一因には「勉強のやり方が具体的にわからない」というものがあります。

またこの記事にも書きましたが、目標設定や勉強のやる気を継続するときの重要な要素として、具体的な手順が明確になっていることが挙げられています。

 

このことを踏まえてまとめてみると、一つ一つの正しい勉強のステップを示して、それが実行されていたらご褒美をあげる。

こんな仕組みにすることが、もっとも中学生の学力向上にとって効果的なのではないかと思います。

 

ご褒美はなるべく近い時期に設定すると良い

ご褒美を設定する際の三つ目のポイントとして、ご褒美を貰える時期を近い将来に設定するというものがあります。

そもそも子供たちの勉強のやる気が出ない根本的な構造は、勉強するという行動をしてもすぐに自分の利益にならないからです。

 

学力が高いほど将来経済的に有利になるということは、いろんな研究から明らかにされていますが、それは中学生にとっては遠すぎる未来の話です。

未来のことすぎてまったく想像できません。

 

この記事の上の方でお話したように、人間は目の前の欲望に負けます。

目の前の選択に関しては欲望に負けやすいキリギリスが圧倒的に強いのです。

 

ということは、ご褒美を設定するにしても近い将来に設定することが大事なんですね。

キリギリスが反応してくれないと意味がないわけです。

 

じゃあどの程度近い将来かというと、これはご褒美の大きさによって変わります。

 

双曲割引の理論からすると、ご褒美が大きければ大きいほど未来に設定しても大丈夫です。

反対に、小さければ小さいほど近い将来に設定する方が良いってわけです。

 

子どものご褒美を設定するタイミングはご褒美の大きさとのバランスで決めると良いってことですね。

 

 

ご褒美が大きすぎるとこんなデメリットが起こります

もう一つご褒美の大きさとやる気に関する研究結果を紹介させてください。

これはダイエットにまつわる研究結果だったのですが、ご褒美が大きければ大きいほどダイエットの成功率が高まることが分かっています。

 

しかし、大きすぎるご褒美を設定して、一時的にご褒美につられるあまり、自分に無理をしてダイエットをするとリバウンドに見舞われるそうです。

つまり、大きすぎるご褒美は強力なあまり無理が生じてしまい、無理をすると一気に反動が来るということが分かっています。

 

勉強の場合も同じかもしれません。

実際僕自身もその経験があります。

嘘みたいな話ですが、ぼくは高校受験のちょうど1ヶ月前から受験勉強を始めました。

リビングでダラダラしていたら父親から本気で怒られた映像が脳裏に焼き付いています。

こわかった、鬼みたいだった。

 

その足で本屋にいって、5科目の「でる順」と赤本を買いに行った思い出があります。

後にも先にも親から「勉強しろ」って言われたのはあの一回限り。

 

で、結果はトップ合格。

特進コースの強者たちよりも、野球がやりたくて進学コースにしたぼくの方が入試の成績が良かった。(嘘じゃないよ、卒業アルバムには新入生代表の挨拶をするぼくの初々しい写真が載ってます。)

ただ、1ヶ月の勉強でトップ合格するぐらいですから、その間は他のことには一切目もくれずに勉強しました。

眠気覚ましのガムを噛みすぎてアゴが筋肉痛になるぐらい。

そんな無理をしたもんですから、高校1年生のときは勉強のやる気がゼロ。

成績は悪くなかったけど、あの時もっとちゃんとやっとけば良かったなぁと少し後悔しています。

 

やっぱり勉強の場合はなるべくコツコツ継続できた方がいいですよね。

一瞬で終わるわけでは無くて、学校に通う間はずっと勉強は続いていきますもんね。

僕みたいな燃え尽き症候群になるような勉強の仕方はよろしくありません。

 

ご褒美は大きければ大きいほど勉強のやる気アップ効果は高まるけど、あまりに大きすぎて無理をすると反動が生まれるから注意してください。

 

 

ご褒美は内側から湧き出るやる気のジャマになる?

最後にもうひとつ。

ご褒美によって、内側から出てくるやる気が損なわれるという研究があります。このあたりはダニエル・ピンク『モチベーション3.0』に詳しいですが、アメとムチについて7つの欠陥が指摘されています。

アメとムチの致命的な7つの欠陥

  1. 内発的動機づけを失わせる
  2. かえって成果が上がらなくなる
  3. 創造性を蝕む
  4. 好ましい言動への意欲を失わせる
  5. ごまかしや近道、倫理に反する行為を助長する
  6. 依存性がある
  7. 短絡的思考を助長する

特に注目したいのが1番です。

 

なぜご褒美によって内面的なやる気が損なわれるのか?というと、もともと自分が楽しくてやっていたはずのことが、いつしかご褒美を得るための手段にすり替わってしまうからなんですね。

 

本来楽しむことが目的だったのに、それが手段に変わると一気に冷めてしまうというわけ。

これを防ぐためには「なんのために勉強しているのか」という目的を常に思い出させることが大切になります。

 

 

一方で逆の研究結果もあります

ですが、、、

 

一方で、上にも登場したハーバード大学のローランド・フライヤーの研究では、ご褒美によって勉強への内面的な動機づけは損なわれなかったという研究結果が出ました。

ややこしい・・・

お母さん

という声が聞こえてきそうです。

 

説明すると長くなってしまうので、細かい部分を横に置いて、ちょっと大雑把にまとめさせてください。

大雑把に言うと、「退屈なことだと本人が思っている場合」にはアメとムチが有効だそうです。つまり、子どもたちが「勉強は退屈なことだ」って思ってる場合にはご褒美が有効に働くと言えそうです。

 

これまで1000人近くの中学生の学習に現場で携わったぼくの私見

上で書いたことを総合して、最後にぼく自身の意見を言わせてください。

僕自身としては、勉強のやる気がない子の場合、やる気を引き出す一つの手段としてご褒美には賛成です。

 

理想を言えば、ご褒美がなくても勉強する意味を自分で見出して、自分から勉強をやってくれると良いのですが、現実には100人中2、3人ではないでしょうか。

その2、3人にはご褒美が無くてもきっと問題ありません。

 

でも、理想と現実は違いますよね。

多くの場合、ご褒美によって短期的にやる気を引き出すのは良い方法になると思います。

もちろんそれを使いすぎると上で挙げたようなデメリットも発生しますし、上手に使わないと燃え尽き症候群やその反動が出てしまいかねません。

 

この微妙なバランスを見ながら、ご褒美で勉強のやる気を引き出して勉強させる。

その過程の中で、自分が勉強する意味や勉強の楽しさを見いだせるように導いてあげる。

 

勉強の楽しさって「自分の成長を感じること」だと思いませんか?

あらゆる方法で「自分は努力すればまだまだ伸びるんだ!」という価値観を身につけてほしいなぁって。

 

もちろん親が子どもを思い通りに動かしたい!ってのはちょっと違う。そういうのは僕は苦手です。

でも、自分の成長を感じてもらうための手段としてならば、ご褒美を活用する価値はあると思う。

 

中学生の勉強を十年以上サポートしてきた者として、そんな風に思っています。

あなたはどう思いますか?

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