お母さん
こんにちは、中学生専門・伸び悩み解消学習コーチの久松隆一です。
「テスト勉強あるある」のコーナー。
定期テストまであと10日。
お母さん
全然勉強してないけど、いよいよ勉強しないとヤバいんじゃ??
お母さん
お母さん
お母さん
もう我慢の限界!!
「いい加減に勉強したら?」
「今やろうと思ってたし!!!」
こんな不毛なやりとりはもうたくさんですよね?少し勇気を出してアプローチを変えてみませんか?
人間は環境によって左右されるってよく言いますが、勉強のやる気も環境によって引き出すことができます。
といっても、まだ中学生の間に自分で自分のやる気を引き出す環境を作れるお子さんはほとんどいません。お父さんお母さんの協力が必須です。
環境づくりは仕組みづくりなので、やる気が続く仕組みさえ完成させれば勉強が習慣化しやすくなります。
というわけで、今日は中学生の勉強のやる気を引き出したい親御さんのために、勉強のやる気を引き出す環境づくりのポイントについてお伝えします。
やる気を引き出す前にすべきこと
「やる気」を引き出そうとしない方がいいかも。
どうしても「やる気」っていうと精神論のような感じがしませんか?
気持ちが弱いとか、継続力がないとか、意志によってやる気が決まるような。
もちろん意志の力も大事です。でも、そこばかりに目を向けているとうまくいかないんです。
ぼくは高校の頃、野球部だったのですが、冬のトレーニングになると毎日100mを100本ダッシュして、そのあとで腹筋背筋を300回して、みたいな地獄のメニューをしてたんですね。
でもやる気があったかって言われたらまったく無かったです。笑
冬になると1ヶ月ぐらいずっと筋肉痛でろくに歩けず、学校へ行けばクラスの同級生から二足歩行ロボットのASIMOくんみたいとイジられ、痛いし恥ずかしいしやる気なんて出るはずもないです。笑
それでも途中で離脱することなくメニューをこなせたのは、チームのみんなと一緒にできたから。
まさに環境です。
もちろん大きな目標があったからこそなのですが、そこに向けての努力が継続できるかどうかは環境によるところが大きいですよね。
つまり、やる気を引き出すためには精神論よりも環境づくりに目を向けた方が効果的ということです。
どんな環境を作れば良いの?環境づくりの2つの原則
では、やる気の有無に関わらずテストに向けて勉強するためにはどんな環境を作ればいいのか。
具体例に入って行く前に、環境作りの原則からいきましょう。2つあります。
- 最初のハードルを下げること
- 一旦動き出したら途中でブレーキになるものを取り去ること
最初はとにかくハードルをさげましょう。
最初の労力を最小限に。
そして一旦動き出したら途中で止まることのないような設計にしてください。
イメージは滑り台です。
滑り台って(階段を上るのは別として)一旦、スタートしたらあとは勝手に下まで滑り降りますよね。滑り始めのときにちょっとおしりを浮かして「よいしょ」ってやるぐらいですよね。
でも、滑り台に泥んこがついていたら滑ろうってハードルが高くなっちゃいますし、ザラザラの滑り台だったら途中で止まってしまいますよね。やっぱり滑り台はピカピカでツルツルじゃなくっちゃ。
勉強のやる気を引き出すときもそんなイメージをもってください。
とにかく最初は労力をかけない、かけさせないようにすること。
ほんの少し労力で動き出せるようにして、一旦動き出したらあとはスムーズに勉強が続くような環境をつくりましょう。
勉強のやる気を引き出すための環境づくり9か条
ここからは勉強のやる気を引き出す環境づくりの具体例を紹介します。
その1:机の上を片付ける
これは説明するまでもないかと思います。
机が汚いままテスト勉強をしようと思っても、教科書が散らかっていては、やる気も作業効率もあがりません。
まずは机の片付けから入りましょう。
といっても、毎回勉強する前に片付けていては勉強の取りかかりが遅くなってしまいます。
結局「片付ける」こと自体がハードルになってしまいかねないので、勉強の前に片付けをするのは最初の一日だけにしてください。
それ以降は、その日の勉強が終わったら机の上を片付けるようにルールを決めましょう。
これはお子さんと話し合ってルールとして最初に設定してください。ずっと続けられたらいいのですが、「ずっと」というのがハードルになってしまいかねないので、はじめは「テストが終わるまで」という期間限定でもかまいません。
ちなみに、ルールを作るときは何でも最初にやった方がいいです。
後からルールを追加すると、だいたいルールってものはめんどくさいので心理的な抵抗感が出てしまいます。
余計なハードルをつくりたくないので、最初に決めておきましょう。
その2:机の上に問題集を開いてから寝る
「毎日、机の上は片付けましょう」と上で書きましたが、もう1つオススメしたいことがあります。
それは「翌日の勉強の準備をしておくこと」。
20秒かからずに取りかかれるぐらいの状態にしておくのがコツ。(※詳細は後述します)
久松
机の上にはシャーペン、消しゴムが置いてあります。
問題集とノートはすでに開かれた状態で、もうあとはやるだけ。
やる気が無くても、すぐに取りかかれそうな気がしませんか?
冗談みたいな話ですが、冗談ぬきでこういう状態を作るようにしてみてください。
これについてはメンタリストDaiGoさんの著書から学んだのですが、
もしも翌日やるタスクが決まっているなら、使うモノ一式を出して置いておきましょう。やるべきことが決まっていて、そのために必要なモノがデスクの上にあるのは、散らかっているのとは違います。むしろ、仕事への取りかかりを最速化するための、最も片付いた状態だといえるでしょう。
(引用元:メンタリストDaiGo『人生を思い通りに操る片づけの心理法則』)
ここまですれば、取りかかりのハードルがかなり下がりますよね。
もう勉強するしかない、という状況が出来上がっています。
本当にやる気を引き出したかったここまで細かく環境作りをする必要があります。
もちろんこれも強制しては意味がないので、お子さんとよく話合って決めてくださいね。
その3:集中を途切れさせるものは見えないようにする
机の上がいくら片付いていても、目に入るところにマンガやスマホが置いてあったら集中が途中で切れてしまいます。
一度、勉強の波に乗ったらそれを途切れさせるようなものは取り除いておきましょう。
心理学者のショーン・エイカーの研究を紹介します。
ついついやってしまう良くない習慣を止めるためは、それをするまでに20秒以上かかるようにすると良いそうです。
反対に続けたい習慣は20秒以内に取りかかれるようにする。
だから机の上に問題集を開いてから寝た方が良いってことですね。
ちなみに、これは「20秒ルール」と言うそうです。
例えば、本棚にあるマンガをつい読んでしまうなら、それを段ボールにしまってガムテープで止めて押し入れの奥の方にしまえばいいんです。
マンガを読むためには、押し入れの手前にある荷物を出して、ガムテープを開けてひっぱりださないとマンガが読めません。
絶対20秒以上かかりますよね。
ハードルが高くなっている分、マンガを読もうとも思わなくなります。
スマホのゲームも一緒ですよね。
最近はスマホのゲームが主流になっているので、手軽にできてしまうのでやめられないって側面もあると思います。
であれば、アカウントだけ保存しておいて、一時的にアプリは消してしまうようにするのはいかがでしょうか。
一旦消してもゲームのデータは残っているので、またダウンロードすればいつでも再開できます。
実際にこの方法を使ったらゲームをやらなくなった子がいます。「なんでゲームやってたか分からん」とサラッと言ってました。かっこいい。
ここでのポイントは、
- 勉強の気が散るものは見えるところに置かない
- 避けたい行動(スマホやマンガ)をするハードルを上げよう
- 具体的には20秒以上かかるようにしよう
ってことでした。
その4:快適な空間をつくる
これもまた勉強の集中を途切れさせないための工夫ですね。
以下のポイントに注意してみてください。
- 机と椅子の高さ
- 部屋の温度
- 静かさ
- 明るさ
部屋の温度はエアコンで何とかなりますが、電気代に気を遣ってエアコンを付けない親孝行な子もたくさんいます。
「勉強するとき集中できなかったらエアコンつけていいよ」って親からの一言があると心理的にハードルが下がるかも。
ちょっとしたことですが、環境作りはそんな地味な作業の積み重ねだったりします。
静かさ。
最近リビング学習がもてはやされてますが、どうなんでしょうね。
「東大生は小学生の頃にリビングで学習する割合が多い」ってデータもありますが、「だからリビングで勉強するのが良いんだ!」ってのは安易すぎる気がします。
それだけ小学生の頃から親御さんが教育に熱心で、勉強に付き合っていた場所がたまたまリビングだっただけ、という気がします。
兄弟がいたりだとか、リビングが騒がしい場合には、自室の方が良いのではないでしょうか。
余談なんですけど、そういえばこんな事件がありました。以前、ぼくと生徒と保護者との三者面談をしたんですが、そのときにそのお子さんが、
中学生
って不満を言ってました。
お母さん「・・・ご、ごめんね」
ぼく「・・・」
リビング学習の新たな闇を見た気がしました。笑
その5:事前にやるべきことを決めておく
これもとっかかりのハードルを下げて、スムーズに勉強モードに入っていくために重要です。人間ってのは「何しようかな?」って考えるのにかなりの労力を使うそうです。
家事でもそうじゃないですか?
ちょっと時間ができてソファに座りながら、次何しようかな?食器片付けようかな?洗濯物たたもうかな、先におもちゃ片付けようかな。あぁそういえば、役所からなんか書類届いてたな。
なんて考えているうちに結局ソファからなかなか立ち上がれない、みたいな。(実はこれは昨日の僕なんですけど。笑)
ぼくら大人でもそうですから、部活に勉強に一日中頑張りまくって体力をすり減らしている中学生にはもっとハードかもしれません。
選択するにたくさんの労力使うってことを証明した実験があります。
「ジャムの法則」をご存じですか?
コロンビア大学のシーナ・アイエンガーさんがある実験をしました。あるスーパーにジャムを置きました。そして、
- たくさんの種類のジャムを置いた場合
- 少ない種類のジャムを置いた場合
この2つのケースの売り上げの違いを調べたそうです。
その結果、ジャムの種類が少ない場合の方が売り上げが10倍にもなったそうです。10倍ですよ、すごくないですか。
これが何を意味するのかっていうと、人は選択肢が多いほど迷った挙げ句に「何もしない」という選択をしてしまう、ということです。
つまり、選択肢が多いと選ぶだけで疲れてしまって、結局行動に移せないってこと。
勉強においても、今日はあれやろうかな?これやろうかな?って迷っているうちに疲れちゃうんですね。
ただでさえ勉強するのってハードルが高いので、やることを事前に決めておかないと決断できずに行動に移せなくなります。
事前にやることは決めておきましょう。
理想のタイミングは前日の勉強が終わったときです。これも次の日のとっかかりのハードルを下げるのに貢献してくれます。
まとめると、次の3点は前日の勉強が終わったタイミングでやっておきましょう。
- 机の片付け
- 翌日の勉強準備
- 明日やるべきことの整理
その6:やるべきことを細切れにする
「困難は分割せよ」って言葉がありますよね。まさにこれのこと。
やるべきことは分解しましょう。分解すれば最初のハードルを低くして行動しやすくなります。
例えば、学校の提出物って結構たくさんあるんですよね。
1教科で20ページとかあったりします。しっかりやろうと思ったら大変じゃないですか。
その心理的なハードルの高さのせいで、なかなか勉強に取りかかれないってわけです。
なので、これを分解して1つずつこなしていくようにしましょう。一気にやろうとするから大変そうに見えるだけで、分解したら案外いけるものです。
例えば20ページを5日に分けると、1日あたり4ページ。結局やることは変わらないけど、4ページと聞くとまだやる気が出やすくなりますよね。
目先に目標を置いてそこまで全力で走る。
到達したらまた次の目標まで全力で走る。
やるべきことは細切れにするようにアドバイスしてあげてください。
その7:最初の一歩に集中する
細切れにしたらさらにもう一工夫しましょう。
最初の一歩のハードルを極端に下げてみてください。
例えば、最初の日は1ページ終わったらOK、みたいにしてみてください。
最初の一歩がスムーズに出れば、二歩目もスムーズに出てきます。
次の日は2ページ、次は3ページみたいにして、少しずつ少しずつ増やしていきましょう。
少しずつでも終わらせていけば次第に達成感からやる気が出てきますし、脳が習慣として認識してくれます。
最初のハードルはもっと下げてもOKです。
僕みたいに足が短い人は歩いてでも超えられるぐらいの高さにしてください。
例えば「今日は机に座ったらOK」みたいな。
本当に机に座るだけでOKなんです。
勉強しなくてもいいし、勉強したければする。机に座りさえすればあとは何とかなったりものです、特にテスト前だと「頑張らないと!」って気持ちはあるので。
机に座るまでのきっかけを作りましょう。最初の一歩を大切にしてください。
その8:たまに環境を変えてみる
いつも同じところで勉強していると飽きるという方は、違う環境で勉強してみるのも良いかもしれません。
ぼくは中学生の頃に「一人青空教室」を開きまして、外にキャンプで使う机を出して勉強したことがあります。
イベント感って大事ですよね、中2病の僕にはわくわく感たっぷりで、妙に捗りました。笑
どうしても飽きたら違う環境で勉強することを試してみてください。
ただ、基本的にはいつも同じ環境でやることをオススメします。
脳は場所と行動をセットで覚えるそうで、例えば「この机に座ったら勉強をするんだ」というように認識しているようです。
反対に机に座りながらスマホを触ったりマンガを読んだりと勉強以外のことはしないほうが良いです。
「机=勉強」と脳に認識させるためです。
その9:人の力を借りる
自分一人でも頑張れる人はなかなかいません。人の力を借りましょう。
上でも話しましたが、部活の地獄のトレーニングもみんなと一緒にやってたからできるんですよね。誰かと一緒にやるってホントいいんです。
ぼくはダイエットするときは「勝負しませんか?」って誰かを誘います。
大体自分より強い人に勝負を挑んで負けるんですけど。笑
まぁそれでも実際に一人でやるときよりは圧倒的に成果につながっていると自分では感じています。
塾へ行くのも一つの環境づくりですよね。
塾へ行けば先生もいるし勉強しに来ている生徒もいるし、自分も勉強せざるを得ません。
とにかく一人でやらない。
サポートしてくれる人や仲間と一緒にがんばりましょう。ちなみに、誰かと一緒に頑張るときのコツは、
- 毎日お互いに勉強時間(もしくはページ数)を報告する
- お互いの努力にいいね!する
って2つを守ることです。小さいことですが、全然効果が違いますよ。
イベント化するのも良いですね。お子さんが定期テストに向けての勉強を頑張る2、3週間の間にお父さんお母さんも何かやってみるのもアリじゃないでしょうか。お子さんからすればイベント感が出て楽しいと思います。
まとめ
最後にざっとおさらいしておきましょう。
勉強のやる気を引き出すためには環境づくりから始めましょう、って話をしました。
環境づくりの原則は、
- 最初のハードルを下げること
- 一旦動き出したら途中でブレーキになるものを取り去ること
という2つ。
この原則を守って、次の9つのポイントを守って環境づくりを進めてください。
- 机の上を片付ける
- 机の上に問題集を開いてから寝る
- 集中を途切れさせるものは見えないようにする
- 快適な空間をつくる
- 事前にやるべきことを決めておく
- やるべきことを細切れにする
- 最初の一歩に集中する
- たまに環境を変えてみる
- 人の力を借りる
でした。
全部取り入れられたらかなり勉強の習慣化ができるのではないでしょうか。
環境づくりは仕組み作りでもあります。
仕組み作りは最初が肝心なので、じっくりご本人と話し合って取り組んでみてください。
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