こんにちは、おうちSTUDYの久松隆一です。
中学生のお子さんの勉強サポートを長年していると、
「うちの子、勉強のやる気が無い…」
「どうしたらやる気が出ますか?」
といった親御さんの悩みは、ほぼ毎週のように聞いている気がします。
何か特効薬があるならぜひ手に入れたいですよね?
ただ、残念ながらそのようなものはありません。やる気がないと一言でいっても、その原因は様々ですし、色んな要因が複雑に絡み合って「現在のやる気」を作っています。しかも、このやる気は日々コロコロ変わります。
昨日なら効くはずの薬も、今日は効かなくなるなんてこともザラ。
じゃあ、一体どうすればいいのでしょうか?
ひとまず、お子さんの勉強のやる気が無い原因を大まかに掴むところから始めてください。
「大まかに」がポイントです。
まずは北に行くのか、南に行くのか、といった方向性さえ間違えなければ、細かい部分は後からどうにでもなるからです。
方向性を間違えると、小手先のやる気アップテクニックに振り回されて、的外れな解決策を連発してしまいます。
まずは、勉強のやる気がない原因を2つのタイプに大別してから対策を考えましょう。
勉強のやる気がない原因2タイプ
勉強のやる気が無い原因を大きく2つに分けると、
- タイプA「そもそもなぜ勉強をするのか、自分の中で明確になっていない」
- タイプB「勉強をする意味は明確だが、具体的な行動に落としこめていない」
となります。
どちらも、見た目では「勉強しない」という行動をとるので、端的に「やる気が無い」の一言でまとめてしまいがちです。
ただ、根っこが違いますよね?
それぞれ見ていきましょう。
タイプA「そもそもなぜ勉強をするのか、自分の中で明確になっていない」
タイプAの方は「そもそもなぜ勉強をするのか、自分の中で明確になっていない」から、行動につながりません。
つまり、タイプAは「価値を感じていない」ことが根っこにある原因です。
勉強をする意味、勉強を頑張る価値が見えていないのです。
例えば、この記事で僕がこれから延々と深海生物について語り出したら、あなたは最後まで読もうと思いますか?
おそらく99.99%の方がNOです。もっと多いかも。
なぜ続きを読む気にならないのでしょうか?
それは、深海生物について詳しくなる価値を見いだせないからです。一般的な表現で言えば「興味が無いから」とも言えるでしょう。
でも、心理的にもう少し深掘りすると、それは「価値を感じていないから」です。
価値を感じないことに対して、人はやる気が出ません。それは人間が太古の昔から備えている特性なので、抗うことはできません。
タイプB「勉強をする意味は明確だが、具体的な行動に落としこめていない」
一方、タイプBは「勉強をする意味は明確だが、具体的な行動に落としこめていない」ため、行動につながりません。
つまり、タイプBは「本能をコントロールできていない」ことが根っこにある原因です。
これまた人間の特性になりますが、人間の脳は2つのタイプが共存しています。
これは、
- 「本能」と「理性」
- 「直観」と「思考」
といった枠組みで見ると、分かりやすいでしょうか。
タイプBにあてはまる方は、
「理性」では勉強する価値を感じているけれども「本能」は目の前の欲望を満たすことに夢中になっている状態です。
「思考」すれば今自分は何をすべきか答えは出ているけれども「直観」的に(反射的に)目の前の欲望に負けている状態です。
今自分は勉強すべきだと頭では分かっているけど、ソファで寝ていたり、スマホを手放せなかったり、Youtubeを止められなかったりなど、これに当てはまります。
あなたのお子さんはどちらに当てはまりますか?
まずはこのタイプAとBのどちらに当てはまるか、見極めてください。その上で、勉強のやる気を引き出す対策を考えていきましょう。
タイプAへの対策「セレンディピティ」の機会をつくる
そもそも勉強することに対する「価値」を感じていないのなら、その「価値」をお子さん自身が見い出すほかありません。
自分で見い出すしかないのです。誰かに見いだされるもの、与えられるものでは決してありません。
親御さんにできることは、自分で見いだすためのサポート、ヒント、きっかけを作ってあげることしかありません。この意味において、長期的なアプローチになるケースが多いです。
これはスキルのようにどこかで習うことでもないですし、そもそもコントロールできることではありません。
セレンディピティという言葉を知っていますか?
セレンディピティとは、
求められていない、意図的でない、思いもよらない、幸運な偶発的に起こった出来事や経験。
という意味です。
ブルーハーツの甲本ヒロトは12歳のある時、ラジオから流れてきたマンフレッドマンの「ドゥワディディ」という曲を聴いて、気づいたら畳をかきむしり、涙が止まらなくなっていたそうです。そのときからロックンロールに取り憑かれたと回想しています。
ここまで衝撃的なものではなくても、勉強する価値を自分で見いだすのはセレンディピティです。
お子さんが勉強する価値を自分で見いだすために、親御さんにできるのは、このセレンディピティになるチャンスを数多く与えることです。
読書、旅行、スポーツ、音楽など、何がきっかけになるかは分かりませんが、チャンスを高めることしかできません。根本的な問いだからこそ、じっくり向き合ってあげてください。
タイプBへの対策「本能をコントロールする戦略」を実行する
こちらは「本能」のコントロールがカギになります。
勉強する意味をもう見いだしているのに、行動に移せないなら、それは「本能をコントロールできていない」からです。
ただ、本能は強力ですので、簡単にはいきません。本能をコントロールし、本当に価値ある行動を日々取るためには、戦略的に取り組む必要があります。
その戦略はさまざまなものがありますが、まずは「環境」について考えてみることをオススメします。
人は環境の生き物と言われますが、周りの環境によって自分の行動を決めることはあなたも経験があると思います。
僕自身も、部活の冬のトレーニングで100m×100本のあと、腹筋1000回のあと…なんて地獄のメニューをこなせたのは、周りで一緒に頑張る仲間の存在、つまり環境の力があったからこそだと感じています。
環境づくりのポイントについては、こちらの記事にまとめてあるので参考にしてみてください。
まとめ
「勉強のやる気が無い」と言っても、原因はさまざまで、日々変わっていきます。
ただ、大きく分けるとやる気がでない原因は2タイプに分かれます。
- そもそもなぜ勉強をするのか、自分の中で明確になっていない
- 勉強をする意味は明確だが、具体的な行動に落としこめていない
まずはこの2タイプに分けて、どちらに当てはまるのか?について考えてみてください。
それによって、大きな方向性として、取るべき対策が決まってくるはずです。