「子どものやる気を出すには何をしたらいい?」に潜む落とし穴

子どものやる気を引き出すには、何をしたらいいですか?

どんな声かけをしたらいいですか?

という悩みって尽きませんよね。

その答えになるような記事も検索すればすぐに見つかるぐらい溢れています。

ただ、その質問をするときに前提となっていることにお気づきでしょうか?

「何をすればいい?」という発想です。

実はコレ、ちょっと危ない。

以前わたしも勉強をやる気にさせる方法という記事を書いたのですが、これだけだと、

「本質が見えないかもな…」と最近思いまして。

というわけで、今日はやる気を引き出すための本質的なことなのに、つい見落とされがちなポイントについてまとめておきたいと思います。

何をすればいい?ではうまくいかない

お子さんの勉強のやる気がないとき、

「親として何をしてあげたらいいんだろう?」

「どんな声かけをしてあげたらいいんだろう?」

と考えることはとても自然なことですし、もちろん悪いことではありません。

ただ、見落としてほしくないことがあるのです。

それは、相手は「心」だということです。

「モノ」ではないんですね。

この夏はモロヘイヤにハマっていたのですが、そのときに『モロヘイヤ 調理法』と検索してみたんですね。検索すればすぐに、茎のおいしい食べ方であったり、レシピであったり、まぁ無限に出てきます。

(ちなみに、個人的におすすめの食べ方は、細かく切ってほんのサッと茹でてミョウガとめんつゆを混ぜて氷で冷やして食べる!そうめんみたいな感覚で美味。)

モロヘイヤのように相手が「モノ」であれば、「何をすればいい?」という問いだけでも問題は起こりません。

しかし、相手が「心」の場合はどうでしょうか?

花鳥風月に心を打たれ、人生のドラマに心を震わせる心が人間には備わっています。

「頑張れ」という一言をとっても、受取り手の心の状態によって行動が変わってきますよね?

入力によっていつも同じ結果を出してくれるコンピュータとは違って、もっと複雑で気まぐれなアルゴリズムを備えているのが人間なのです。

他者のやる気を出すという営みのように、心を相手にするときには「何をすればやる気が出るのか?」という単純な問いでは解決できないのです。

どういう心の状態になればいい?という問い

単純な問いだけではダメなのであれば、そこにもう一つ問いを加えましょう。

どういう心の状態になればいい?

という問いです。

実際に僕が1:1でサポートする際にいつも考えているのはこちらです。

心の状態が整えば、自然にやる気は出てくるからです。

それも、長くつづく本物のやる気。「勉強しなさい」と怒られたからしぶしぶ行動するような短期的なやる気ではなく。

どんな心の状態になればいいの?5つのポイント

では、どんな心の状態になっていれば、長期的に行動し続けられるやる気が出るのでしょうか?

上にも書いたように、相手は心なので、複雑で気まぐれ。ここに書いてあることがすべてではありません。

ましてや、これから書くことは唯一絶対の正解ではありません。なんせ相手は心ですから。「何も知らないよりはうまくできるだろう」という知的謙虚さを忘れずにお読みください。

5つのポイントにまとめておきます。

  1. 「それをする意味がある」と感じている
  2. 課題やその達成方法を自分で決めているという実感がある
  3. 自分はその目標や、そこにいたるまでの課題をクリアできると感じている
  4. 行動した分だけ成長できている実感がある
  5. 失敗することに対して心理的安全性を感じている

「それをする意味がある」と感じている

勉強することが誰かに与えられた目標になっていませんか?

お子さん自身の心の中から本当に望んでいるものですか?

何より重要なことは、お子さん自身がその目標に対して価値を感じていますか?

価値を感じていないものにやる気は出ません。

課題やその達成方法を自分で決めているという実感がある

課題を誰かに与えられていませんか?最終的に心から納得して自己決定できていますか?

自分で主体的に取り組んでいないこと、他者によって決められた課題に対して人間はやる気が出ません。

自分はその目標や、そこにいたるまでの課題をクリアできると感じている

その目標や課題は頑張ればクリアできると信じられていますか?

心の中で「そんなの無理だ…」と感じていませんか?

「やればできる」と感じられないことについて、人間はやる気が出ません。

行動した分だけ成長できている実感がある

お子さんは自分の日々の成長を感じられていますか?

お子さんの成長を見つめられていますか?

日々の小さな成長に自分で気づけていないなら、行き着く先は「やってもムダ」という思い込みです。

やってもムダだと感じていることに、人間はやる気が出ません。

失敗することに対して心理的安全性を感じている

心理的安全性とは「それをしても咎められない」という安心感のことです。

失敗して怒られたらどうしよう…点数が悪くて怒られたらどうしよう…といったやる気は本物と言えるでしょうか?

Noです。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のループに陥るだけです。

まとめ

これら5つのポイントについて、まずは知っておいてください。

長期的なやる気を引き出す上で大事なのは「心の状態」です。

心の状態を考慮した上で、そこから逆算して「何をすればやる気が出るのか?」といった問いを立ててみましょう。

本質をないがしろにして、人の心を考慮せずに、

ただ闇雲に「あの記事に書いてあった●●をすればやる気が出る!」だなんてやっていてもうまくいきません。

相手は人間であり、人間には心があります。

私自身も、人の心を尊重する姿勢を忘れないように日々のレッスンに取り組んでまいりたいと改めて身が引き締まる思いです。