お母さん
お母さん
なかなか勉強をやる気にならないお子さんの姿を見るとイライラしちゃいますよね?
でも「勉強しなさい」と言ったところで効果が無いことも分かっている。
どうしたらいいんでしょうか?
僕はこれまで1000人以上の中学生の勉強をサポートしてきて、中学生が勉強のやる気を失う5つのカベを見つけました。このカベを無事に5つ超えていけば、自分から勉強する子になります。
この記事では、中学生に勉強をやる気にさせる方法を5ステップに分けて解説します。各ステップで1つずつカベを乗り越えて、やる気スイッチをONにしましょう。
記事の中で、お子さんの「あるある発言集」を紹介しているので、あなたのお子さんがどのステップでつまづいているのか簡単にチェックできます。
さらに、そんなとき親としてどんな言葉をかけたらいいのか?どんな対応をしたらいいのか?についても声かけ例を一緒に紹介します。
僕自身も1:1レッスンにおいていつも意識していることですし、大体これさえ押さえておけばうまくいくよね、って秘訣です。もうこれでやる気のないお子さんの姿を見てイライラすることもなくなるはず!
早速いきましょう。
準備編:先に3つだけ済ませておいてください
まずは本編に入る前に、少しだけ準備をしましょう。
子どものやる気を引き出すためには、いくつかの前提条件があります。これらの条件を満たしていないと、本編でお話しする4ステップがうまくいかなくなってしまうので、ここでしっかりと3つだけ準備をしておいてください。
3つの準備とは、
- 「なぜ勉強させたいのか?」を明確にする
- させることはできないと理解する
- 信頼関係を築く
この3つです。
どれも勉強のやる気を引き出すのに直接関係はなさそうですが、間接的に響いてくるんですね。一流の技術をもったプロのアスリートでも、体調が悪ければ自分の力を発揮できません。
そうそう、テニスプレーヤーのジョコビッチ選手は、小麦アレルギーを持っていたことに気づかず、成績が伸び悩んでいたそうです。でも、グルテンフリーの食事に変えてからトッププレーヤーになれたという話がありますね。
彼が食事を変えることで万全の準備を整えたように、僕らも万全の準備をしてから本編に入ります。
準備1:「なぜ勉強させたいのか?」を明確にする
まずは大きな教育方針をあなたの中で明確にしてください。
なぜあなたはお子さんに勉強させたいの?
という質問に答えを出してみてください。
なぜこんなことをするのかというと、あなたの対応をブレないようにするためです。あなた自身のお子さんへの対応がブレると、お子さんはどこに向かったらいいか分からずに迷走することになります。
中学生
お子さんがこんなふうに感じてしまうと、親の顔色を伺いながら自主性のないやらされ感満載の勉強になります。当然やる気も成績も伸びません。
子どもにやる気を出させたいのなら、まずは親であるあなたが一貫したメッセージを投げ続けなければならないんですね。そのために、あなた自身の教育方針をハッキリさせて、教育の軸を作ってください。
ただ、「なぜあなたはお子さんに勉強させたいの?」という質問は、まだ少しフワッとしているので答えにくいかもしれません。その場合は、次の2つの質問に答えてみてください。
- お子さんにはどんな人になってほしい?
- それを実現するために、学校の勉強においては、どのようになっていてほしい?
参考までに、僕自身の回答を載せておきます。これは僕がサービスを提供する際に軸となっているもので、判断に迷ったときは、常にこの軸に戻って考えるようにしています。
お子さんにはどんな人になってほしい?
「自分は努力すれば成長できる」という自信を持って自分を成長させつづけていく人、自分の未来を自分で切り開いていける人になってほしい。
それを実現するために、学校の勉強においては、どのようになっていてほしい?
学校の勉強を通して、2つのことを身につけてほしい。
①頑張っても成績が伸びないと、つい自分は「やってもムダ」と思ってしまいがち。だから正しい勉強の仕方を身につけてもらい、正しいやり方で勉強することで「自分は頑張れば成長できるんだ」と実感できるようになってほしい。
②そのためには勉強技術だけではなくマインドセットも大事。結果や他人との比較(つまり偏差値や順位)で自分の価値を決めるのではなく、過去の自分と比較して自分の成長を見つめ、自分を肯定できるようなマインドセットを持たせてあげたい。
この2つを学校の勉強を通じて身につけてもらいたい。そうすれば、「自分は努力すれば成長できる」と自信をもって、自分を成長させ続けていく人になれると信じている。
といった具合です。
こうした軸があると、具体的な場面において、私から発信する声かけがブレなくなり、一貫性をもった関わりができるようになります。
例えば、テストで少々点数が悪くても、
久松
というメッセージが自然に出てきます。
結果を見てあーだこーだ言われるよりも、お子さんのやる気に繋がると思いませんか?やる気を伸ばすにはこんな地道な声かけの積み重ねでしかないんですね。だからブレちゃだめなんです。
あなたの一言で、一瞬でお子さんが変わる魔法の言葉なんてのはありえません。長い目で見てコツコツと一貫したメッセージを投げかけるしかないんです。
そのためには、まずあなたの中で「なぜ勉強させたいのか?」をハッキリさせて軸を作ってみてください。
準備2:させることは「できない」と理解する
中学生に勉強させる方法を紹介している記事の途中で、なんとまぁ…。全否定するようなテーマですね。笑
でも安心してください。後からきちんとお話しします。
今ここでは「無理やり勉強させることは無理」と肝に銘じておいてほしい、という意識面のお話をしています。
うちの子が2歳の頃、イヤイヤ期に苦労しました。
朝ご飯食べるにしても、ひと苦労。
こっちは幼稚園に遅れるからって早くご飯食べてほしいのに、全然食べてくれない。しびれを切らして、食べさせようと思ったら「自分で食べる!」とブチギレモードに入ります。
きっとこれをお読みのお母さん方は首を縦に20回ぐらい振ってくださっていると思うのですが、何が言いたいかというと、「自分で決めたい」という願望は人間の根源的な欲求だよね、ってこと。
2歳からのイヤイヤ期って、結局は「自分で行動を選択する」という願望が表にでてくるからなんですよね。そんな時期からすでに「選びたい欲求」がある。
まだ小さいうちは、それを何とかおもちゃでごまかしたり、お菓子でつったりしてごまかすこともできちゃうんですけど、そらもう中学生ともなったら無理です。ごまかしは効かない。
じゃあ、どうすれば良いのかっていうと自分で選択させてあげてください。
といっても、自分で選択させるのは少し怖いですよね?だからこそ、しっかりと情報提供をしてあげることが大切になります。
例えば、山に分け入ってキノコを採るときに、何も知らないまま山に入ると、毒キノコまで選んでしまう可能性がある。
だから「これはシイタケ、これはマツタケ。この2つは食べられるよ。でも、これはテングタケといって毒キノコ。これは食べちゃだめだよ。あのスーパーマリオでさえやられちゃうよ」って正しい情報を与えてあげる。
中学生にもなれば、与えられた情報をもとに論理を組み立てて、自分で答えを出せます。この「自分で答えを出した感」が大事なんです。
何かをさせるのではなく、自分で選ばせる。
答えを教えるのではなく、答えを自分で選べるように情報提供をする。
こんな意識をもってお子さんと向き合ってみてください。
準備3:信頼関係を築く
とてもシンプルな話で、自分のことを理解してくれなかったり、共感してくれない人に対して子供は心を開きません。
子供というか大人でも一緒ですよね。「うちの上司はほんと現場のことを分かってない」とか、よく聞くじゃないですか?笑
これは現場の実情を理解してくれないとか、現場のしんどさに共感してくれない、と言った無理解が原因になっていますよね。そんな状態で上司が何か言ってもモチベーションが上がるはずもないし、アドバイスだって響かない。
これと同じで、勉強を頑張っているのに、しかも部活とかも含めてけっこう忙しい中で勉強を頑張ってるのに理解してくれない…ってなると、お子さんはこう感じます。
中学生
って。
当然、自分のこと理解してくれない人には反抗しますし、アドバイスなんて右から左に抜けていきますよね。
勉強のやる気を上げたいなら、あなたからの言葉や態度がお子さんの心に響かなければなりません。だから信頼関係を築くことは大前提になるんですね。
信頼関係を築くためには、難しく考えなくても構いません。子どもの置かれている状況を理解し、その大変さに共感してあげること。まずはこれだけ意識してみてください。
愛するお子さんの将来が心配なあまり、つい理解や共感をすっ飛ばして「勉強しなさい」と言ってしまったり、頭ごなしに指示してしまいませんか?
これでは、せっかくの愛情も伝わりませんし、言うことも聞いてくれません。何か言いたいことがあったとしても、ぐっと言葉を飲み込んで、まずはよく話を聞いて共感からスタートしてみてください。
もともと親子の絆で結ばれていますから、無理解が解消されれば自然に耳も傾けてくれるようになります。愛情の伝え方を「言う」から「聞く」に変えるだけです。
以上3つ、勉強のやる気を引き出す準備は整いましたか?
中学生に勉強をやる気にさせる方法!5つのカベを乗り越えろ!
ではこれより、勉強のやる気を失う5つのカベを乗り越える方法について見ていきましょう。
魔法のように一瞬でやる気が出る言葉はありませんが、これらのカベを乗り越えていくことで、自然にやる気は出てきます。
勉強のやる気をジャマする5つのカベとは?
まず、お子さんのやる気をジャマしている5つのカベとはどのようなものでしょうか?
- それをする意味が分からない
- 何をどうやってしたらいいか分からない
- 自分にはできそうにない
- 失敗するのが怖い
- 環境が整っていない
1つずつサクッと見ていきましょう。あなたのお子さんがどのカベで阻まれているのか、チェックしながら読み進めてみてください。
カベ1「それをする意味が分からない」
これは「勉強する意味が分からない。だからやる気が出ない」という構造をもたらすカベです。
このカベに阻まれているお子さんは、
中学生
中学生
などの言葉が出てきます。
カベ2「何をどうやってしたらいいか分からない」
これは「テスト勉強って何をどうやってやればいいか分からない。だからやる気が出ない。」という構造をもたらすカベです。
このカベを前にすると、お子さんは、
中学生
中学生
などの言葉が出てきます。
カベ3「自分にはできそうにない」
これは「こんなにたくさん覚えられない。だからやる気が出ない」とか、「難しすぎて分からない。だからやる気が出ない」という構造をもたらすカベです。
このカベに阻まれているお子さんは、
中学生
中学生
中学生
などの言葉が出てきます。
カベ4「失敗するのが怖い」
これは「悪い点数取ったらどうしよう、こわい。だからやる気が出ない」という構造をもたらすカベです。
このカベの前でお子さんは、
中学生
中学生
中学生
中学生
などの言葉が出てきます。
カベ5「環境が整っていない」
これは「家だとなんか勉強する気にならない…ついダラダラしちゃう…」という構造をもたらすカベです。
このカベに阻まれているお子さんは、
中学生
中学生
中学生
などの言葉が出てきます。
これらの5つのカベによって、お子さんは、そもそも勉強する気になれなかったり、勉強しようと思いながらもすぐに行動に移せなかったりします。
結果として、「勉強のやる気がない子」と言われてしまうんです。
でも、これはもったいない。本当の原因は、お子さんの人格にあるのではなく、5つのカベにあるわけですから。
これらのカベを乗り越えさせてあげれば、自然にやる気が出る状態が整います。
では、どうやってカベを乗り越えるか知りたくないですか?
やる気にまつわるよくある間違いとは?
ホントごめんなさい、もう少しだけ待ってください。
お子さんと向き合い方を間違えるとうまくいきません。5ステップに進む前に、やる気にまつわるよくある間違いを知っておいてください。
よくある間違いとは「○○をすればやる気が出る」というもの。
例えば「○○という声かけをすればやる気が出る」とか「こんなご褒美を与えればやる気が出る」とか。
甘い!そんなのはまやかしです。
コンピュータなら入力した通りの結果を返してくれますが、僕らは人間です。人間心理はそんな簡単なものじゃないですよね。
人間を相手にしたとき、100%の確率で「○○をすればやる気が出る」といった必勝法はありません。これからお話しするのは、確かにやる気を引き出す方法ですが、100%やる気が出るというノウハウでは決してありません。
では、どのようなスタンスでお子さんのやる気と向き合うべきなのか?
やる気にさせるのではなく、やる気が出やすい状態を整えましょう、というスタンスです。次の2つの違いをよく見てください。
やる気が出やすい状態を整えてあげれば、結果として勉強する確率が上がっていく。これがやる気の真実です。
だからサポートする立場の僕らとしては、お子さんがカベを乗り越えるサポートをして、やる気が出やすい状態を整えていきましょう!というスタンスが大事なのです。
ややこしいけど、大事なところ。
もう一度言いますね。
やる気にさせるのではなくて、やる気が出やすい状態をこちらが生み出してあげる。そうすることで、勉強する確率を上げていくのです。
必勝法に騙されずに地道にいきましょう。
こんなスタンスを念頭に置きながら、これからお話する中学生に勉強のやる気を引き出す5ステップを実行してみてください。
ステップ1「それをする意味が分からない」カベを乗り越える方法
このカベは簡単に言えば、勉強する意味が見いだせないというカベですね。
お子さんも、なんとなく勉強した方がいいことは分かっている。でも、なんだか自分にとって本当に大事だという実感が持てずに動けない状態に陥っています。
言い換えると、勉強が自分事になっていないということ。
自分事になっていなければ、やらされるままに勉強しているだけですから、それはやる気が出なくて当然です。
とはいえ、なぜ勉強するのか?を見つけるのは一筋縄ではいきません。すぐに答えが出るテーマではないですよね、だって人生をかけた壮大なテーマですから。
人生経験が増えるとともに、勉強する意味が見えてくるケースのがきっと多い。でも、気づいた頃にはもう遅い、とはなってほしくない。
正直、このステップをクリアするのは大変で、一番時間がかかるかもしれません。でも答えを焦ってはいけません。
この問いへの答えを出すには、お子さん自身が、自分の人生と向き合う機会をたくさん作るしかありません。
勉強する意味を見つける方法
少し抽象的な話になってしまいますが、僕はこの問いへの答えを出すキーワードは感動だと思っています。感動はやる気の原動力になります。
だから色んな感動をたくさん経験してほしいんですよね。
まだまだ人生経験も少ないですし、なぜ勉強するのか?の答えを見つけるほどの感動に出会えていないのかもしれません。
僕自身、この仕事につこうと思ったのは、アルバイトをしていた塾で、ある生徒さんからの「ありがとう」という言葉と、素敵な笑顔を見て感動したからなんですね。
僕の生徒さんでも、ゲームに感化されて「大学でコンピュータサイエンスを学びたい」といって勉強を頑張り始めた子がいたり、ケガの治療に通っていた整骨院の先生に感化されて、スポーツ医療系の専門学校に行きたいといって勉強を頑張り始めた子もいます。
他にも、本やアニメ、旅行先の風景、周囲の人、昔から好きだった電車などなど、挙げればキリがないのですが、彼らは皆それぞれ何かしら心に響いたことがあったのだと思います。素敵ですよね。
「なぜ私は勉強するのか?」この答えを見つけるために、何がきっかけになるかは誰にも分かりません。いろんな情報を与え、刺激を与え、たくさんの感動を経験させるしか方法はないのかなと思っています。
打席にたくさん立っているうちに、いつかホームランボールがやってくるはずです。ぜひ感動をたくさん経験させてあげてください。きっと自分の人生と向き合う良い機会になります。
こうしてたくさんの感動を経験した結果、「もうある程度の方向性が決まってきたし、自分が勉強する意味が見えてきたよ」という方は、この記事を読んでみてください。この記事の中にある実践ワークに取り組んで、「勉強する意味」をよりハッキリさせてあげてください。
こうして、あなたのお子さんの中で「なぜ勉強するのか?」「なぜ勉強を頑張るのか?」について答えが出せたら、このステップはクリアになります。
親の声かけ例
ステップ1の終わりに、親御さんの声かけ例をひとつ挙げておきます。
中学生
お母さん
ステップ2「何をどうやってしたらいいか分からない」カベを乗り越える方法
このカベは簡単に言えば、勉強の仕方が分からないというカベです。
いざ何かを始めるとき、人間はやり方が分からないと行動に移せないんですね。
最近、我が家では0歳の娘がつかまり立ちをするようになったので、ベビーベッドの底を低くしようとしたんです。でも説明書がない。捨ててしまったんですね。
「説明書がないとやり方が分からないなぁ…」と思っているうちに、1日過ぎ、2日過ぎ…。結局、2週間くらいしてやっと重い腰を上げて、四苦八苦しながら底の高さを変えた、なんてことがありました。
中学に上がると定期テストが始まりますが、みんな最初はやり方がよく分からない。だから勉強のスタートが遅くなってしまうんですね。何をどうやってしたらいいのか、具体的に見えていないと人は先延ばしをします。
それに加えて、完全に自己流でやっていたら、効率が悪くて全然進まないし頭にも入らない。結果、点数にもつながらない。
そら、やる気が起きなくて当然ですよね。
勉強の仕方を身につける方法
まずは勉強の仕方を基本だけでも身につけてさせてあげてください。学校や塾の先生に聞いたり、勉強法の本を読んだり、学ぶ機会はいくらでもあります。
最終的に、自分スタイルの勉強法が確立できたらいいですが、やはり最初は基本の型を身につけておくことをオススメします。
いくつか勉強の仕方の基本を身につけるために、参考になる記事をここに載せておきますね。
親の声かけ例
ステップ2の終わりに、親御さんの声かけ例をひとつ挙げておきます。
中学生
お母さん
ステップ3「自分にはできそうにない」カベを乗り越える方法
さて、ここまでのステップで、
なぜ勉強するのかについての答えを見つけ、
どうやって勉強すればよいのか?
についてもハッキリさせてきました。
続いては、「自分にはできそうにない」という思い込みをぶっこわす段階です。
この思い込みは勉強においてはもちろん、人生においてもジャマ者。
「自分にはできない」と思ってしまったら、成長のために努力することをやめてしまいます。そんな思い込みを中学生のうちに持たせてしまってはダメですよね。
でも、学校の勉強ってどうしても「自分にはできそうにない」と思わせてしまいがち。
どうすればいいのでしょうか?
「自分にはできない」という思い込みをぶっ壊す2つの方法
2つの方法があります。
これは周囲の声かけの仕方がかなり重要になるので注意深く聞いていてください。
まず1つ目の方法は「他人と比べさせない」ということ。
やる気を下げる親は他人との比較でお子さんを評価する傾向があります。すると、お子さん自身も、他人との比較で自分の価値を判断するようになります。
例えば、学年順位が下がったり、偏差値が下がったりすると、「なんで私はできないんだろう…」と自分を責めてしまうんですね。
ただでさえ自分では頑張っているつもりなのに、なかなか点数が伸びないと、どうしても「自分って勉強してもムダなんじゃ」「自分は頑張っても成績を伸ばすことはできないんじゃないか」と自分の能力を疑ってしまいます。
それに追い打ちをかけるように、
なんて言ったらどうなるか容易に想像できますよね?
「自分にはできない」とか「やってもムダ」といって、余計にやる気を下げてしまうだけです。
もしもお子さんが、他人と比べる思考を持っていたら「人と比べなくていいんだよ」というメッセージを繰り返し伝えてあげてください。
2つ目の方法は「過去の自分と比較させる」です。
なぜ過去の自分と比較させるのか?というと、自分の成長を実感しやすいからです。
やり方はとても簡単。
例えば、お子さんは1時間かけて問題集を5ページ解けるようになったとします。そうしたら、1時間前の自分と比べて5ページ分だけ成長していますよね?
これが過去の自分と比較させるということです。
ほとんどのお子さんはこの小さな成長に気づいていません。
そらそうです、点数だけで評価されてきた経験の方が圧倒的に多いんですから。自然に他人との比較で自分の評価を決めてしまっているんです。
でも、それじゃダメ。この小さな成長をしっかりとお子さんに自覚させてあげなければならないんですね。
「この1時間で5ページ分も成長してるんだよ」という声かけを周囲がしてあげる。そうすることで「あ、私は成長してるんだ。自分もやればできるんだ」と思ってもらわないといけないんです。
自分の成長を実感すれば、やる気につながります。
勉強が好きな子は自分の成長に喜びを感じているからやる気が自然に続くんですね。だからお子さんには、過去の自分と比較させて、自分が成長している実感を持たせてあげてください。
この2つの方法をコツコツ実行すると、自然に「自分にはできそうにない」という思い込みは少しずつ消えていきます。
簡単にはなくなりませんが、コツコツ続けていって、お子さんの思い込みを変えてあげてください。
親の声かけ例
ステップ3の終わりに、親御さんの声かけ例を挙げておきます。
これは3年生の模試が返ってきた時のシーンを想像しながら聞いてみてください。実際に私が1:1レッスンでやっているテストの反省会はこんな感じです。
中学生
久松
どの単元が取れていて、どの単元が取れていないか詳しく見てみた?ほら、最近は「光と音」の単元の復習してたじゃん。そこはどうだったの?
中学生
久松
このように、成長に焦点を当てた声かけの積み重ねで「自分にはできそうにない」という思い込みをぶっ壊してあげてください。
ステップ4「失敗するのが怖い」カベを乗り越える方法
失敗するのって怖いですよね?
失敗したら人にバカにされたり、笑われたり、怒られたり。イヤですよね、そんなの。
お子さんはテストの度にこの恐怖と戦うことになります。もしテストの点数が悪くてお子さんを叱っている人がいたら、今すぐやめたほうがいいです。
恐怖から生まれるやる気は「不快なことを避ける」というタイプのやる気です。このタイプのやる気は長続きしません。
例えば、点数が悪くてお子さんを叱ったとしましょう。その一瞬が終われば、お子さんにとって不快なことは終わりです。
中学生
と心の中でほっと一息ついて、それ以上の勉強にはつながりません。
自分の中から湧き出てくるようなやる気ではないので、一時的に勉強する行動を取っても、長くは続かないんですね。やらされている勉強ですからやる気も出ないし、勉強の質も下がってしまいます。
失敗する恐怖を乗り越えてやる気を引き出す方法
「失敗するのが怖い」というカベを乗り越えて、長続きするやる気を引き出すにはどうすればいいのでしょうか?
簡単です。
失敗を許してあげてください。そして失敗から学ばせてあげてください。
というメッセージが伝われば、次につながるやる気が出てきます。
ステップ3のところでも紹介しましたが、とにかく結果で評価しないことはやる気を引き出す大前提となります。これを心がけるだけで信頼関係も生まれて、あなたの言葉が響くようにもなります。
僕はレッスンで常に、
久松
と伝えるようにしています。
それでも最初はなかなか信じて貰えないんですよね。それでも諦めずにコツコツと「どんどん失敗しようぜ!」と伝え、失敗した時には一切責めずに、次に向けての工夫を一緒に考える。こんな姿勢をあなたも見せ続けてあげてください。
そうすると「失敗するのが怖い」というカベを乗り越えて、長続きするタイプのやる気を引き出すことができます。
親の声かけ例
ステップ4の終わりに、親御さんの声かけ例を挙げておきます。
中学生
お母さん
ステップ5「環境が整っていない」カベを乗り越える方法
ステップ4までは心理的なカベについてでした。
このステップ5は物理的なカベです。お子さんの内側ではなく外側にあるカベと言えるでしょう。
人は環境の生き物と言われます。環境によって人は自分の行動を変えるからです。
僕は高校時代の部活で、冬の走り込みの時期などは、毎日100mダッシュを50本とか腹筋1000回とかしてたんですね。今では考えられません。
でも当時は、周りに一緒に頑張る仲間がいて、野球に集中できる環境が整っていたんですね。学校、グランド、寮をローテーションしてる感じでしたから。
環境を整えることで、人は自然に望ましい行動が取れるようになります。
ステップ4までで、心理的なカベを無事に乗り越えてきたのに、それでもなかなか勉強が進まないという場合、勉強する環境が整っていないのかもしれません。
勉強のやる気が出る環境を一緒に作ってあげてください。
勉強のやる気が出る環境を作る方法
勉強のやる気を引き出してくれる環境には、いくつかポイントがあります。
- 気が散るものが視界に入らない
- 勉強にすぐに取りかかれる状態が整っている
- 勉強以外の行動がとりにくい状態が整っている
これについては、中学生が集中して勉強する方法や、勉強のやる気を引き出す環境づくりの記事に詳しく書いてあるので、そちらを参考にしてみてください。
ここでは一点だけ、絶対に外してはいけないことをお伝えします。自分で決めさせるということです。
これはこの記事の準備編でもお伝えしたこと。このポイントを外してはいけません。
勉強しやすくする環境を親が無理やり整えても、結局やらされているだけなので意味がありません。お子さんと一緒に考えるようにしてくださいね。
親の声かけ例
ステップ5の終わりに、親御さんの声かけ例を挙げておきます。
中学生
お母さん
まとめ
以上、5つのカベを乗り越えて、勉強をやる気にさせる方法についてまとめてきました。
最後までお読みいただいたあなたはもう気づいているはずですが、「やる気にさせる」というよりも「やる気が自然に出る状態を作る」が正解ですね。
そのためには、
ステップ1:なぜ勉強するのかをハッキリさせて、
ステップ2:勉強とは何をどうやってするのか手順を具体化し、
ステップ3:自分にはできそうにないという思い込みをぶっ壊し、
ステップ4:失敗する恐怖から解放し、
ステップ5:行動しやすい環境を整える。
各ステップを一つずつクリアすれば、自らの意志で自然に勉強するようになります。
なかなか一言声をかけただけで、勉強をやる気にさせることはできませんが、この記事で紹介した地道な取り組みを続けてみてください。
やらされる勉強ではなく、ハッキリした目的を持って、自らの意志で楽しみながら自分を成長させていく人になります。
楽しんで自分を育てられるって、素敵だと思いませんか?
少なくとも僕にとっては、学校の成績や学歴なんかより、よっぽど大事なことだと信じています。
みんなが「自分にはできない」という思い込みを壊して、自分を成長させていく喜びを感じられるようになってほしいなぁ!
この記事が少しでもお子さんの豊かな人生に貢献できたら嬉しいです。