伸び悩む人に足りないのはコレ!勉強の仕方の「基礎スキル」を身につけていますか?

このページでは、勉強の仕方の基礎スキルとは何か?について解説します。

何事においても基礎は大事ですよね?サッカーならドリブルができないといけないですし、野球ならボールを投げたり打ったりできないとまともにプレーできません。

勉強の仕方についてもやはり同じで基礎スキルがあります。

しかし、残念ながらこれは見逃されがちでして、ほとんどの人はこの「基礎スキル」とは何かを自覚しないまま、自己流で勉強していたり、誰かの勉強法をマネしているわけです。

同じように勉強していても、成長スピードに差が出てしまうのは、勉強の仕方の「基礎スキル」が身についているかどうか、によって決まります。

では、この「基礎スキル」とは一体どのようなものか?

といったところを、この記事で解説していきたいと思います。

勉強法をマネしてうまくいく人・うまくいかない人の違い

勉強法の基礎スキルについて解説する前に、まずはお子さんが陥ってしまいがちな罠について知っておいてください。

世の中には勉強法がたくさんあって、最近ではネットを使えば簡単に情報が手に入ります。しかし、同じように勉強法をマネして成果が出る子もいれば、そうではない子もいます。

なぜこんな違いが生まれるのでしょうか?

その理由は、実は基礎スキルの有無にあるのです。

勉強法とは、いわば「戦術」です。戦術とは、戦いを有利に進めるための作戦なので、これは色んな方法があります。世の中に勉強法がたくさん存在する理由ですね。

ただ、この戦術を実行しようと思えば、その戦術に見合った「基礎スキル」が求められます。

いくらヒットエンドランを実行しようと思っても、バットがまともに振れなければ成功しません。Aクイックで速攻をかけようとしても、まともにオーバーハンドトスができない人は成功しません。

このように、戦術は「基礎スキル」が前提となっているのです。基礎スキルがない人はいくら戦術を実行しようとしても、うまくいきません。

もうお分かりでしょうか?

ネットに溢れる勉強法をマネして、うまくいく人とうまくいかない人がいるのは、この基礎スキルの有無にあるのです。

勉強の仕方における、基礎スキルの有無です。

基礎スキルがない人は、まず戦術あれこれの前に、基礎スキルを習得しなければならないのです。

勉強の仕方における基礎スキルとは?

同じように勉強していても、成果に差がでるのは「基礎スキル」の有無であることについて解説してきました。

ここからは、この基礎スキルとは一体何なのか?について解説します。

結論から言うと、次の2つのスキルです。

  1. オーバースキル
  2. キープスキル

これは僕が勝手にネーミングしました。これらの2つのスキルは、僕が長年1:1で勉強の仕方を専門にアドバイスしてきた経験から発見した要素ですので、一応オリジナル用語としてここで定義しておきます。

これらのスキルは、頑張ってるのに伸びない人は共通してみんな持っていません。それでいて、塾や学校の先生からも指摘されないまま、ずっと見逃され続けてきた伸び悩みの根本原因です。

塾や学校の先生は、当然これらのスキルを身につけているわけですが、ほとんどの先生は、当たり前のこと過ぎて気づかないんですね。スポーツなら目に見えて「ドリブルが下手」などと気づけますが、勉強になると頭の中は見えません。だから先生も「基礎スキル」がないことに気づけない。

偉そうにしゃべっている僕も、恥ずかしながら塾の現場にいた当初はまったく気づけませんでした。その当時、頑張っているのに伸ばしてあげられなかった子もいて、その当時の悔しさが、今こうして勉強の仕方を専門に教える原動力になっているのですが、これは完全に余談なのでここでストップ。

本題に戻りますと、僕が「オーバースキル」「キープスキル」と名付けた2つのスキルさえ身につけてしまえば、成果に繋がる勉強ができるようになります。

それぞれ解説していきます。

「基礎スキル」を理解するために知っておくべきこと

まわりくどくて申し訳ないですが、2つのスキルについて解説する前に、一つだけ理解しておいてほしいことがあります。先にそれをサクッと説明します。

それは、勉強とは何か?です。

結論からいえば、勉強するとは、「できない」を「できる」に変えることです。いくら問題集を解いても、教科書を読んでも、ノートをまとめても「できる」ようになっていなければ勉強とは言えません。

このことを踏まえて、オーバースキルの解説に入ります。

オーバースキルとは?

オーバースキルとは、「できない」を「できる」に変えるための技術です。

「できない」と「できる」の間には、それらを分ける境界線が引かれています。オーバースキルは、この「できない」と「できる」の境界線を越えるためのスキルです。

オーバースキルを身につけている人は、勉強した結果として、境界線を超えて「できる」ゾーンに突入します。裏を返せば、「できる」ゾーンに入るまでは、自分にOKを出しません。

一方で頑張っているのに伸び悩んでしまう人は、自分がまだ「できる」ゾーンに入っていないのに、自分にOKを出してしまうのです。

自分では頑張って勉強したつもりでも、まだ「できない」ゾーンにいるので、点数にはつながりません。境界線を越えましょう。越えてから自分にOKを出せるようになりましょう。その技術がオーバースキルというわけです。

オーバースキルを習得するまでの3つの関門

オーバースキルが正しく身についたと言えるまでには、次の3つの関門を突破する必要があります。

  1. 「できるの基準」を正しく知る
  2. 自分が「できるの基準」を超えているか正確に判断する技術を身につける
  3. 「できない」を「できる」に変える技術を身につける

この3つの関門を突破すれば、めでたくオーバースキルは習得したと言えます。ここ全部解説すると長くなりすぎるので、要点だけまとめておきます。

第一関門:「できるの基準」を正しく知る

「できるの基準」とは、自分にOKを出す基準のことです。「よし、もうこの基準をクリアしてるからOKだな!」と自分で判断するための基準です。

できるの基準には3つあって、

  1. 自分ひとりでできる
  2. スムーズにできる
  3. 正解できる

この3つをクリアしていれば、自分にOKを出しても良いです。この判断基準を使いこなせるようになれば、「できない」を「できる」に変えてから自分にOKを出せるようになります。

ただ、そのためには、自分の現在地を正しく判断しなければなりません。これが第二関門です。

第二関門:自分が「できるの基準」を超えているか正確に判断する技術を身につける

これは、そのまま言葉通りです。自分自身で「できるの基準」を超えているかどうかを見極めます。

ここは、二番目に難しいところです。(※最難関は後ほど説明します)なぜなら、思い込みによって判断が左右されるからです。「何度も繰り返したからOK!」のように「できる」と思い込んでしまうケースが多々あります。簡単に言えば「勉強したつもり」になってしまうのです。

お子さん自身が思い込みに気づけるかどうか、が勝負を分けます。お子さん自身では、思い込みになかなか気づけないものですので、できればサポートしてあげてください。

第三関門:「できる」に変える技術を身につける

自分の立ち位置が正確に判断できるようにあれば、あとは「できない」を「できる」に変えるための技術を身につけるだけです。ここはまったく難しくありません。

問題点に気づけば、人は自分でその問題点を修正できます。水が床にこぼれていることに気づけば、誰でもぞうきんを持ってきて拭きますよね。

勉強も同じように、「分かっていない」と気づけば、人に聞いたり調べたりします。覚えていないことに気づけば、覚えるための行動を起こします。(※起こさない人は、そもそも点数を伸ばしたい願望が薄い人でして、勉強の仕方以前の問題になります)

というわけで、この第三関門については、第二関門を突破すれば、自然に誰でもできるものだったりします。とはいえ、「できない」を「できる」に効率的に変えるための方法はあります。

少し小難しい話になりますが、「検索練習」「インターリービング」「記憶の宮殿」などのテクニックを使いこなせるようになれば、時短かつ効率的に「できない」を「できる」に変えられます。

このあたりは基礎スキルというよりも、戦術レベルの話になるのでここでは深掘りしないことにします。

このブログでもあれこれ解説しているので、良かったら読んでみてください。ネットで調べてもたくさん見つかるはずです。

以上の3つの関門を突破すれば、オーバースキルは習得です。でも、それだけじゃまだ不十分。もう一つ「キープスキル」を身につけてください。

キープスキルとは?

オーバースキルを身につければ、「できる」に変えてから、自分にOKを出せるようになります。これで勉強したことがしっかりと頭に入っているので、点数にもつながりますよね。

…と思ったら、まだダメなんです。

「忘れ」が発生するからです。人の記憶はどんどん消えていきます。せっかく一旦「できる」ゾーンに突入したことも、放っておいたらまた「できない」ゾーンに逆戻りします。

テスト当日まで「できる」状態をキープしなければ、「勉強したのに忘れた…」「うろ覚えだった…」なんてことになって、せっかくの努力が水の泡となってしまいます。

そこで、必要になるのが「キープスキル」です。

キープスキルとは、「できる」状態をテスト当日までキープしておくためのスキルです。

キープスキルを習得するまでの2つの関門

キープスキルを身につけるために突破しなければならない関門は2つ。

  1. キープできていない知識を発見する技術を身につける
  2. 全科目トータルでキープするための技術を身につける

それぞれポイントだけ説明しますね。

第一関門:キープできていない知識を発見する技術を身につける

めちゃくちゃシンプルな方法は、もう一度解き直せばいいのです。もう一度テストをすれば、自分がキープできていない方法が見つかります。

ただ、実際にはそれを実行する時間がなかったり、面倒くさくてできなかったりもしますので、時短や手間の省略などの工夫が必要になるケースが多いです。

また、「この内容、問題量、難易度からすれば、だいたい自分はこれぐらいの時期に忘れてくるだろうな」と、予測する力も重要です。

これらの能力も含めてキープスキルなのですが、初心者の方はまず「解き直し」だけでも十分ですので取り組んでみてください。

キープできていない知識を発見すれば、あとは「オーバースキル」を使って、再び「できる」ようにするだけです。

第二関門:全科目トータルでキープするための技術を身につける

簡単に言えば、この技術はタスク管理、スケジュール管理の技術です。

そうやって言うと、タスク管理メモや手帳を使えば良さそうですが、そう簡単にはいきません。

ここは最難関です。

なぜなら、ここもまた人の「思い込み」(=認知バイアス)と戦わなければならないからです。

実際にテスト勉強を進めると、時間が足りなくてテストまでに間に合わないという状況はよくあります。オーバースキルを習得しても、テスト当日までに全科目「できる」に変える時間が無い…、といったケースも多々あります。

なぜこんなことになってしまうのか、というと「思い込み」に原因があるのです。もっと早く仕上がると思っているんですね。

こうしたタイプの思い込みのことを「計画錯誤」と言います。ある研究によると、人間は自分が見積もっている時間の1.4倍ほど余計に時間がかかるそうです。10時間あれば仕上がると思っていても、実際には14時間かかるというわけです。

何を隠そう、この記事を書いている僕も、これなら「2時間もあれば終わる」と見積もっていましたが、すでに今コレを書いている時点で2時間を過ぎています。笑

人間は時間の見積もりがものすごく下手なのです。これに対抗するためには、スケジュール管理力が欠かせません。予想よりも時間がかかることを想定したスケジュールを組んでおく必要があるのです。

この計画錯誤を自覚して、適切なスケジュール管理やタスク管理ができるようになるためには、何度か失敗をしなければなりません。失敗をして、自分で気づくしかないのです。その分これを身につけるのは時間がかかりますし、最も難しいというわけです。

いずれにしても、計画錯誤を自覚し、スケジュール管理・タスク管理ができるようになれば、テスト当日まで全科目で「できる」状態をキープできるようになります。経験上、ここまでくると5科目合計400点を下回ることはほとんどありません。

もうあとは、世の中に無数にある勉強法の中から、自分に合った方法を見つけて、さらに勉強を効率化し、点数を伸ばしていくだけです。僕は自分のレッスンにおいても、この関門の突破を一旦のゴールに設定しています。

よくある失敗

ここで、伸びない人がよく陥ってしまいがちな失敗例を紹介します。

あくまでも一例なのですが、これによく似たパターンに陥っている方をよく見かけます。

お子さんは当てはまっていないか、ふり返ってみてください。

10回書けば良いと言われて書いたのですが…

英単語の暗記が苦手なので、学校の先生にアドバイスを貰ったのですが、「10回書き取りしなさい。そうしたら覚えられるよ。」と言われたので、試してみました。でも、実際テストになるとほとんど忘れてしまっています…。

よくあるケースですよね。

勉強法として「10回書き取り練習」をしています。でも、覚えられない。こんなとき、どうすればいいのでしょうか?

まずは「オーバースキル」が身についているか、チェックしてみてください。

10回書き取りをした結果、「自分ひとりで、スムーズに、正解できているかどうか」が重要です。そして、その基準をクリアしているかどうか、お子さん自身が正確に判断できているかどうか、をチェックします。

もし、この時点でNGならばオーバースキルが足りていないので、まずはオーバースキルから身につけましょう。

特に問題点が見つからない場合、勉強した時点では「できる」状態を作れていることになります。それならば、テストで点数が取れない原因は「キープできていない」ことになりますね。つまり「キープスキル」が足りていません。

  • 一回勉強しただけで「大丈夫」と思い込んでいないかどうか?
  • キープできているかどうかのチェックを怠っていないかどうか?
  • 復習のタスクを実行できる時間を生み出せていたかどうか?

といった観点から、伸び悩みの原因を探ってみてください。

何度もしつこいですが、勉強「できない」を「できる」に変えて、その「できる」の状態をテスト当日までキープすれば、確実に点数につながります。

世の中のあらゆる勉強法は、これを効率的に実現するための戦術ですが、「オーバースキル」と「キープスキル」がその大前提になっています。その前提が足りていない可能性をまずは探ってみる必要があります。

ただ、残念ながら、塾や学校の先生にとっては当たり前のこと過ぎて見過ごされているのも事実。本来足りていないのはドリブルの技術なのに、3−3−4のフォーメーション論を必死にアドバイスされているようなものです。

まずはこの2つのスキルを身につけているかどうかをチェックして、もし持っていないのならば、最優先で習得することをオススメします。

まとめ

頑張っているのに伸びない人は、勉強の仕方の「基礎スキル」を身につけないまま、がむしゃらに努力をしているからです。

この基礎スキルとは、

  • オーバースキル:できないをできるに変えるスキル
  • キープスキル:できる状態をテスト本番までキープするスキル

です。

頑張ってるのに伸びないとすれば、それは勉強の仕方に問題があるケースがほとんどです。中でも、まずはこの2つの基礎スキルが身についているかをチェックすることをオススメします。