子供に勉強を教えるとき、なかなかうまく伝わらなくて、イライラしてしまうことってありますよね。
でも、大丈夫。
ほんの少し子供に勉強を教えるコツを知っておいてください。
これまで約1000人の中学生の学習をサポートしてきた経験から、お子さんに勉強を教えるコツを4つお伝えしたいと思います。
教える側がこれを実践すれば、お子さんもよく理解できるようになるし、イライラもずいぶん解消すると思います。
というわけで、今回はうまく子供に勉強を教えるための4つのコツをお伝えします。
勉強の教え方のコツ①:最初はゴールを確認してあげる
問題には必ず「ハテナ」があります。
問題を解くとき、まずはじめに目の前の問題は「何を聞いているのか?」を正確に読み取らないといけませんよね。これがゴールです。まずはこのゴール、すなわち「何を聞かれているのか?」を確認してあげてください。
そんなの当たり前と思うかもしれませんが、それがお子さんにとっては当たり前ではないんです。
特に、勉強が苦手なお子さんはゴールを把握しないまま出発するので、大人から見ると「どこ向かってるの!?」と思うような解き方をしたり、ちんぷんかんぷんな答えを出してくるわけです。
このとき、子供が的外れな答えを出してくるのを見て、ほとんどの大人が、
「よく問題を読みなさい!」
って言っちゃうんですが、この言葉は慎重に使わないといけません。
というのも、よく読んでいても「何を聞かれているか」把握できないケースがあるんです。経験上、勉強が苦手な子ほど「国語力」に課題があって、よく読んでいるけど最終的に何を聞かれているかが読み取れない。こうした子供に対して「よく読みなさい」は、やる気を奪うだけなので危険です。
じゃあ、どうしたらいいのでしょうか?
ステップ1:ゴールを自分の言葉で言わせる
それは「どんなゴールに向かって解いているのか?」を自分の言葉で言わせることです。
具体的には、問題を解き始める前に「この問題って何を聞いてる?」ってひと声かけてあげるだけ。そうすると、子供の中でゴールが明確になります。
ボウリングで例えると、先頭のピンを目指して投げたらいいんだなと分かるので、隣のレーンに向かって投げることがなくなります。
お互いにイライラせずに済みますね。
ステップ2:ゴールまでの道順を確認する
ゴールが分かっても、まだ安心してはいけません。
ゴールが見えても、そのゴールに向かうために、何が必要なのか?が分かっていないことも。このままでは、明後日の方向へ歩き出してしまいます。
まずはゴールまでの道順を確認してみましょう。
手順はゴールの確認と同様です。どうやってゴールまでたどり着くのか、手順を自分の言葉で説明してもらってください。
ステップ3:現在地を確認する
手順が言えたからといって、まだ安心してはいけません。
実際に手を動かして解いているうちに「何を解いているか分からなくなった…」となりがちです。
例えば、円すいの「体積」を求める問題をやっていると、途中で円すいの「表面積」を求めていたりします。ちなみに、本人に悪気はありません。
こうしたケースの対処法としては、
- どんなゴール向かって解いているのか?《ゴールの確認》
- 解くために何が必要か?《道順の確認》
をもう一度確認してあげてください。
そのうえで、
- そのゴールにたどり着くために、次は何をする必要があるのか?《現在地の確認》
を確認します。
ボウリングで例えると、先頭ピンを確認した後で、さらにガター止めの「バンパー」を出してあげるようなイメージです。気づいたらどんどん横道に逸れていってしまうので、そうならないように細かく軌道修正してあげてください。
この3つに注意するだけで、問題の解き方がかなりスムーズに進むと思います。
勉強の教え方のコツ②:ミスを軽く受け止める
子供に勉強を教えていると、ミスって出ますよね?
そんなときどうしていますか?
よく、ミスが出るとつい怒ってしまって、最終的にはケンカになってしまうというお話をよく聞きます。そうならないために、勉強を教える側が注意しておきたい「意識」についてお話しします。
ミスを軽く受け止める
コツはたった一つだけです。そのコツとは、
ミスを軽ーーーーーーく受け止めるだけ。
勉強を教えていると当たり前なんですが、子供はミスをします。この時に当たり前と思えるかどうかが勝負です。
わたしは妻に家事を頼まれると大抵ミスします。笑 洗濯物を取り込むのを忘れたり、洗い物がなぜか1つだけ残ったり、掃除機しながらモノを壊したり。。。
もちろんミスしたときは軽く怒られるんですが、その時に子供の気持ちがめっちゃ分かります!だれもミスしたくてミスしているわけじゃないんですよね。ミスしようと思っていないけど、なぜかミスしてしまうんです。
「何でこんなところでミスするの!?」
「さっきも言ったでしょ!?」
無意識のうちに言ってしまっていませんか?「できない」ことを責めるような言葉はやる気を下げる方向にしか働きません。
子供がミスしたら、
「あぁ、はいはいミスね」
ぐらいに軽く受け止めてあげることです。
特に親子関係で勉強を教える場合はすぐに子供に甘えがでてしまうので、少しでも「もうイヤ」と思わせたら負けなんですね。くれぐれも否定はNGです。
質問しやすい環境をつくる
ミスが悪いモノだと本人も分かっているので、ミスをスルーしてあげることで安心して質問ができるようになります。
ミスを怒ると、子供は「できないことは悪いことだ」と思ってしまうんです。そうすると、できない自分を隠そうとする。結果的に、分かっていないことでも「分かった」と言って、分からないところを質問しなくなってしまうんですね。
勉強を教えているときに、子供が「分かった」と言うのでいざやらせてみたら、全然できなかった…みたいな経験ありませんか?これは「分かったつもり」になっている場合と、「分からない」と言えないから「分かったふり」をしている場合とがあります。
後者であれば、あなたの愛情が深すぎるあまりにプレッシャーがキツくなっているのかもしれません。別のカタチの愛で包みこんであげてください。
「あぁ、はいはいミスね」
「ミスでちゃうよね、次がんばろー!」
「何が原因やと思う??」
これぐらいのテンションで接していたら、まず子供が分かったふりをするようなことはありません。
子供の失敗をいかに許せるかが勝負
子供は失敗から学ぶものなので、安全に失敗させてそこから学びを得てもらうようにするのが教育だと思います。
失敗しないように大人が先回りして安全を確保していては、なかなか本人の成長は引き出せない。結局は大人がいかに「子供の失敗を許して上げられるか」だと思うんです。
勉強を教えるときもミスを軽く受け止めて、
「失敗してもいいんだよ!」
「できなくてもいいんだよ!」
というメッセージが伝わるような態度で接してあげてください。
成長の過程ではミスして当たり前。それを許してあげる、当たり前のものとして捉えてあげる。そうすると、子供は失敗を恐れずにどんどんチャレンジするようになるので、結果的に成長します。
勉強の教え方のコツ③:話すスピードはゆっくり…ではなく「間」を取る
勉強を子供に教えるコツとして、よく「早口にならないようにゆっくり話しましょう」って言われますよね。
これはもちろん正解なんですけど、これまでの経験から言うと、それ以上に「間(ま)」が大事です。
ただゆっくり話せばいいってもんじゃないんです。
説明するとき、
これがこうなる。
↓
だからこれがこうなる。
↓
すると、さらにこれがこうなる。
↓
で、最後にこうなる。
みたいな感じで、一歩ずつ理解の階段を登ってもらうイメージで進めます。
この階段を一段ずつ登っていくことができず、途中でついてこれなくなったときに「分からない」となってしまいます。指導者側が理解の階段を先に登りすぎたら、もう子供の理解力はついてこれません。
しかし、言葉を聞いてから、その言葉の意味を脳内でイメージするまでの間には、必ずタイムラグが生じます。
・・・ややこしいですよね?
これをお読みのあなたが今まさにタイムラグを感じていると思います。このタイムラグを考慮することがとても大事なのです。
今の話を図にしてみましょう。
リンゴという言葉を聞いて、脳内でリンゴをイメージ化するには、こんな処理が行われているわけですね。
「リンゴ」だったらタイムラグがほとんどないかもしれませんが、これが「A君は池の周りを時速3kmで右回りに、一方B君は…」ってことになると、いちいち脳内イメージをつくるのに時間がかかるわけです。このタイムラグを考慮する必要があるのです。
つまり、
「これがこうなる。」
(間を取る)
「だからこれがこうなる。」
(間を取る)
「すると、さらにこれがこうなる。」
(間を取る)
「で、最後にこうなる。」
こんな感じで、説明する際は、文と文のあいだに「間」を取ることが大事です。これは、文の意味を脳内で処理する時間をつくっているわけです。
一方、「ゆっくり話す」というのは、
「こ〜れ〜が〜、こ〜う〜な〜る〜」
っていうことですね。スピードの意識よりも、間の意識を持って教えてあげるとうまくいきます。
特に、マンツーマンで指導しているときは表情とかうなずき方に注目してみるとイイです。脳内処理が完了したときに、「・・・ふむふむ!」みたいな反応が出ます。
そしたら脳内処理が完了してるので、次の文を話しはじめてOKです。
勉強の教え方のコツ④:大人の当たり前を疑う
これも指導者が見落としがちなところですが、大人が知ってて当たり前だと思っている知識を子供は持っていません。
文章題の中にこんな文があったとします。
「太郎くんは家をでて東100mに進み、コンビニの角を北に曲がりました」
一見当たり前に理解できそうですが、これでも中学生にはひっかかりが生じることがあるんですね。東西南北がよく分かっていない子供も実際にいるからです。
これは極端な例ですが、それぐらい大人が当たり前に思っていることでもその知識を持っていない可能性があるということです。指導者は、これを考慮して説明しないといけません。
スモールステップで一歩ずつ理解を深める
では、この問題をどうやって解決すればいいのでしょうか?
キーワードはスモールステップで一歩ずつ理解を深める。
ぼくは料理がまったくできないんですが、晩ご飯がエビフライだったときに、奥さんとこんな会話になったんです。
久松
久松
ぼくはタルタルソースがマヨネーズから作られていることを知らなかったんですね(恥ずかしい)。「ん?タルタルソースとマヨネーズは何も関係なくね??」と完全にハテナでした。
奥さんからすれば、タルタルソースはマヨネーズから作られていることが当たり前なんだけど、ぼくはそれを知らなかった。勉強が苦手な子供に勉強を教えるときも、こうしたことがよく起こるわけです。
これを解決するためには、スモールステップで進めてあげます。
先ほどの例だと、
久松
久松
こうすれば、ぼくにも理解できるようになるわけです。論理のステップを細かく刻んであげるイメージですね。
こうした論理のステップを配慮できずに勉強を教える人がよくやってしまうのが、
という説明の仕方。これは、ちょっと勉強が苦手な中学生からするとステップ幅が広すぎるんですね。
ぼくならこうします。
久松
久松
久松
久松
久松
こんな感じで、とにかく細かくステップを刻んで一歩ずつ登らせてあげると、説明についてこれるようになります。
まとめ
最後にもう一度おさらいしておきましょう。
お子さんに勉強を教えるときのコツは4つあります。
- 最初はゴールを確認してあげる
- ミスを軽く受けとめる
- 話すスピードはゆっくり…ではなく「間」を取る
- 大人の当たり前を疑う
これらのポイントを押さえて教えたら、うまく理解してもらえない…といった悩みはかなり解消できると思います。
一言でまとめると「大人にとって当たり前のことが、子供にとっては当たり前じゃない」という意識をもっておきましょう。
そうすれば、イライラしなくなりますし、お子さんが「どこが分かっていないのか」も見つけやすくなって、ズバッと分からないところを教えてあげられるようにもなります。
参考になれば幸いです!
なお、そもそも論ですが、親が勉強を教えようと思っても、お子さんにやる気がなければうまくいきません。勉強のやる気を引き出す方法については、こちらにまとめてあるので参考にしてみてください。