こんにちは、おうちSTUDYの久松隆一です。
久松
ボタンひとつで自動学習してくれる機能が脳みそに搭載されていたら良いのですが、残念ながらそんな機能はありません。
それなら僕らはディズニーの魔法に期待するしかありませんが、残念ながらディズニーの魔法はファンタジックなものに限定されていて、こんな現実的な魔法はきっと今後も現れてこないでしょう。ドラえもんも21世紀なのにいまだに現れませんし…。
となると、僕らに残された道はただ一つ。
最低限の勉強時間を確保し、しっかりと地に足を付けて努力するという選択肢だけになります。
では、最低限の勉強量って一体どのくらいなんでしょう?
あなたのお子さんが、最低限の勉強量が足りているかどうかをチェックするには、たった2つの質問に答えるだけで構いません。
伸び悩む原因が勉強量にあるかどうかをチェックしてください。原因が分かればモヤモヤもスッキリするはずです。
2つの質問をする前に、まずこのことを知っておいてください
先に1つ、重要な知識をお伝えさせてください。
これから勉強とは何かについての本質的な話をします。難しい話ではありません。本質なものほどシンプルです。iPhoneに全然ボタンがないのはムダをそぎ落として本質だけ残しているから。ガラケーはその逆でボタンだらけですよね。足し算ではなく引き算の美学で勉強を捉えてみましょう。
勉強とは一体何でしょうか?
できないをできるに変えることです。
自分ひとりではできないところを見つけて、そこを自分ひとりでできるようにする。たったこれだけのことなのです。中学生の勉強時間について検索すると、「中学生は○時間しましょう、受験生なら○時間です!」のような記事を目にしますが、ちょっとズレてない?…といつも思ってしまいます。
だって「できないをできるに変える」ことができていたら、時間なんてどうでもいいからです。
いえ、どうでもいいというのは間違いですね。時間は短い方が良いに決まっています。僕は1〜2年前にお掃除ロボットのルンバを買ったんです。それまで部屋の掃除をするときは、掃除機を使って15分くらいかけてやってたんですね。でもルンバが来てからというもの、僕が部屋の掃除に使う時間は1秒になりました。ボタンを押すだけです。
掃除にかかる時間はルンバが動いている間だけ時間がかかっていますが、僕が使う時間は1秒です。部屋をキレイにするという結果が同じなら、時間は短い方がいいに決まっています。
もう一度シンプルな原則を思い出してください。勉強とは「できないをできるに変える」ことです。もしもお子さんが90分毎日勉強していたとしても、その90分で「できない→できる」に全然変えられていなかったら、意味がありませんよね?その反対に、1分勉強しただけで全部「できる」に変えられているなら、それでいいんです。
勉強効率が上がれば、その分だけ必要な勉強量は減っていきます。つまり、必要な勉強量は「何時間」とか「何分」とか明確に数字で決まっているわけではありません。
「できない」を「できる」に変えるためにかかる時間が、お子さんにとって最低限必要な勉強量なのです。
このことを念頭において考えてみてください。あなたのお子さんにとって必要な勉強量はどのくらいでしょうか?
お子さんの勉強量が足りているかどうかをチェックする2つの質問
お子さんにとって必要な勉強量をチェックするには、たった2つの質問に答えるだけで構いません。
- 勉強しているとき、その場で「できる」に変えられていますか?
- テスト当日まで「できる」の状態を維持できていますか?
いずれか1つでもNOなのであれば、お子さんの勉強時間は足りていると言えません。
お誕生日会で手作りのバースデーケーキをふるまうことになったとしましょう。ケーキは事前に作っておき、冷蔵庫にしまっておきますよね?
- 事前にケーキを完成させる
- パーティーまでケーキを冷蔵庫で保存しておく
勉強においても同じで、
- 事前に「できる」状態を作っておく
- テストまで「できる」状態を保存しておく
この2つがテストで結果を出すために必要になります。このためにかかる時間が最低限の勉強量ですよ、というわけです。もう少し詳しく見てみましょう。
質問1:勉強しているとき、その場で「できる」に変えられていますか?
まずはケーキの例で言えば、ケーキを完成させる段階からチェックしましょう。
テストに向けて勉強するとき、お子さんは「できる」状態を完成させられていますか?勉強するときはいつもその場で「できる」状態を作っておかなければなりません。
例えば、テストに向けて『教科書ワーク英語中3』の25ページを解いているのであれば、その場で25ページにある問題はすべて○になるようにしなければなりません。
その場で「できる」状態が作れていないのなら、勉強時間が足りていないと判断もできます。そもそも勉強の仕方としてもNGです。「できる」状態にするまで自分にOKを出してはいけませんし、そこにもっていくまでの勉強量を確保してください。
その場で「できる」に変えられているかをチェックする方法
チェックの方法は簡単です。まず問題集を4ページほど選んで勉強してもらってください。お子さんが「勉強した!」と宣言したタイミングで「じゃあこのページを何も見ず解いてみて」とテストをしてもらいます。テストは1ページだけで構いません。ちなみに、最初に4ページ解いてもらうのは、どこをテストするのか絞らせないためです。もしそのテストで満点が取れなかったら、それはできるに変えられていない、と判断できます。
ただ、これについては勉強効率とも密接につながっていますね。効率が上がれば勉強時間は少なくなりますから。効率的な勉強ができているかどうかのチェック方法についてはこのワークに取り組んでみてください。
質問2:テストまでに忘れていませんか?
ケーキは作りっぱなしでは腐ってしまいます。冷蔵庫にしまいますよね?
知識も同じです。
一旦「分かった!」とか「できた!」と思っても、油断するとすぐに忘れていってしまいます。これは脳がそんな仕組みになっているのだから仕方ありません。
『ウサギとカメ』って物語がありますよね。ウサギは油断して昼寝していたら、いつのまにかカメに追い越されてしまっていたというあの有名なストーリー。
脳の中でも同じことが起こっているんです。一旦「できる」の状態を作っておいても、じわじわと「忘却」の魔の手が忍び寄ってきます、カメのように。余談ですが、あのストーリーは最初『油断大敵』ってタイトルで出版されていたそうです。まんまですね。
テストまでに忘れていないかをチェックする方法
これは100%正確にチェックする方法はひとつしかないんです、本番でチェックするという方法しか…。
でもそれを言っては元も子もありません。テストで点数を取るために勉強しているわけですから、何か別の方法でチェックする必要があります。
しかし、この別の方法がまた難しいんですね。95%の人ができていません。いや、99%かも。
何をするのかというと、テスト2日前からはもう一度「自分ができる」と思っている(思い込んでいる)範囲をもう一度テストのつもりで解くのです。
これを実現するためには、何が必要か分かりますか?3日前までに「できる」状態をつくらなければなりません。さらに、その状態をキープしつづけなければなりません。相当なスケジュール管理力が求められることになります。
しかし、人間はみんなスケジュール管理が苦手です。「計画錯誤」って言葉を聞いたことがありますか?
これはダニエル・カーネマンというノーベル賞学者が作った言葉なんです。彼は「人間って思い込みによって、ついおかしな行動をとっちゃうよね」ってことを研究しているんですね。これは行動経済学という学問領域です。
で、その研究の中の一つに「人は何かの計画を完了するまで、自分が思っているより1.4倍の時間がかかる」ということを明らかにしました。つまり「テスト勉強は10時間もあれば終わるだろう」と思っていても、実際にやり始めたら平均して14時間かかっちゃうというわけです。人間は時間の見積もりがヘタなんですね。だからスケジュール管理はとっても難しいし、上で紹介した方法を実行できる人は1%です。
これを踏まえて言うと、実は勉強量不足の真の原因はスケジュール管理力不足なんですね。テスト10日前に間に合うと思って勉強をスタートさせても遅いんです。もっと早く始めれば、勉強量不足になることもありませんよね、当たり前の話ですけど。
だからスケジュール管理ができるようになればめちゃくちゃ点数が上がります。実際、ぼくの生徒さんでもこれができるようになった人は、めちゃくちゃ点数を伸ばしています。
余談が長くなってしまいました。
チェックするためのポイントをまとめておきます。
- テスト3日前までに「できる」状態をつくっておく
- テスト2日前から、自分が「できる」状態にしたと思っているところをセルフテストする
- テストの結果を見て忘れているところを判断する(で、もう一度できるにする)
まとめ
必要な勉強量は人それぞれ違います。勉強効率が人それぞれ違うからです。
○年生なら○時間勉強しましょう!のように、決まった数字があるわけではありません。
勉強の本質をおさえて必要な勉強量を判断してください。テスト本番を「できる」状態で迎えるためにかかる時間が、あなたのお子さんにとって必要な勉強量です。
必要な勉強量が足りているかどうかをチェックするのは、2つの質問をしてください。
- 勉強しているとき、その場で「できる」に変えられていますか?
- テスト当日まで「できる」の状態を維持できていますか?
この2つにYesと答えられるようになれば、必要な勉強時間は確保できていると判断できます。こうなればテストの点数も間違いなく取れますし、きっとその頃には「なんだ、私やればできるじゃん」と思えるようになっています。
この2つの質問、ただ勉強量のチェックに使うだけではもったいないですね、勉強の質も上がります。ぶっちゃけると、実際、僕の1:1レッスンでも使いまくっています。この質問を上手に使って、勉強の質も点数も自信も上げて、お子さんのセルフイメージを塗り替えていってください。きっとテストの点数よりも大切なものを手にしているはずです。