中学生になって成績が悪いと親としてちょっと心配になりますよね。いずれ高校受験も控えていますし、うかうかしていられない不安が頭をよぎるかと思います。
とはいえ、親として一体何をしてあげたらいいのか?そもそもなぜ成績が悪いのか?よく分からないなんてこともあると思います。というか、親御さんはみんなそこで同じように悩んでいます。
というわけで、今回は中学生のお子さんの成績が悪いとき、親にできること・してはいけないことについて記事を書いてみました。
焦りから対応を間違えて、逆効果になるケースもよくあります。こじれると厄介ですので、焦って行動する前に適切なサポートの仕方について整理しておいてください。適切な対策を取れば成績は必ず上がります。
中学生の成績が悪いとき、親が最初にすべきこととは?
子供の中学校の成績が悪いときに、親がまず最初にすべきことは何でしょうか?
原因をみつけることです。
なぜ成績が悪いのか?について理由を考えてみてください。
ここでは、成績が悪いとはテストの点数が悪いという意味で使いたいと思います。学校の授業態度や日々の生活態度といった、内申点に関わることはこの記事では触れません。
以下では、中学校のテストの点数が悪い理由を見つけていけたらと思います。
成績アップに必要な3つの要素
テストの成績は、次の3つの要素によって決まります。
- 基礎学力
- 勉強の仕方
- 勉強量
これらはそれぞれかけ算になっていて、
成績=基礎学力×勉強の仕方×勉強時間
といったように、どれか一つが欠けるだけでテストの点数は悪くなってしまいます。
もう少し詳しく説明しますね。
基礎学力が足りていないケース
何事も基礎が無いとなかなか結果には結び付きません。キャッチボールが出来ない人が野球の試合に出ても良い結果を残せないですよね。
勉強も同じです。それぞれの科目に基礎となる内容があります。例えば、2年生の数学で習う「連立方程式」は1年生で習う「方程式」ができていないと、当然解けません。英語であれば、一般動詞の現在形が分かっていないと、現在進行形は理解できませんよね。
中3であれば、中2までの内容が定着していないといけません。
中2であれば、中1までの内容。中1であれば小学校までの内容といった具合に、概ね前学年までの内容が基礎になると思ってください。
つまり、学年が進めば進むほど、この基礎学力不足は深刻に影響してきます。
お子さんは今、何年生ですか?
これまでの定期テストで、60点を切っているテストがあれば、そこは基礎が固まっていないと判断してください。
勉強の仕方が悪いケース
勉強のやり方を間違えると、いくら頑張ってもなかなか実力はつきません。
本人は勉強しているつもりでも、その勉強が的外れになってしまっているケースです。「勉強したつもり」に陥っているとも言えるでしょう。
これは極端な例ですが、
問題集を解いて、赤ペンで答えを書いて、終わり!
といったような。
これではなかなかテストで点数を取ることができません。
理由は簡単で自分ひとりで解けるようになっていないからです。○つけして、赤ペンで答えをかくだけでもうその問題が自分ひとりで解けるようになることはほぼありません。それができたら天才です。勉強を頑張らなくても勝手に頭に入っているはずです。
でも、僕を含めたたいていの人間は、赤ペンで答えを書き写しただけでは頭に入っていません。当然テストでも点数が取れることはありません。
勉強量が足りないケース
サッカーで言えば、いくら身体能力が高くて、正しい練習方法を知っていても、練習しなければ上達しませんよね?
勉強もやはり、いくら基礎があっても、いくら正しい勉強の仕方を身につけていても、行動にうつさなければ点数は伸びません。
とはいえ、いくら「勉強しなさい」と親が言ったところで、子供の勉強量には効果がありませんよね?
子供であっても他人。他人の行動はコントロールできません。
勉強量が少ない背後には、やる気の問題が横たわっています。そもそも勉強に対する「やる気」の部分に根本的な原因があると言えるでしょう。
以上の3つが、テストの成績が悪くなる原因でした。
中学生の成績が悪いとき親ができること
では、これより中学生の成績が悪いときに親ができることを、それぞれの要因別に解説します。
対策1:やる気の問題を解決する
できれば最初にとりかかりたい課題です。
ただ、これが最も難しいかもしれません。なんせ人間のやる気なんて簡単に出ませんし、長続きするものでもないからです。とはいえ、やる気は根本的な問題だからこそ、ここをすっとばすわけにはいきません。
やる気が出ない要因として、
- 勉強する意味が分からない
- どうやって勉強したら良いか分からない
- 勉強しても自分にはできそうにない
- 悪い点数を取ることが怖い
- 勉強に取りかかる環境が整っていない
といった5つの心理的な要因があります。これらのカベを一つひとつクリアすることで、勉強のやる気を引き出すことができます。
これについては、子供に勉強をやる気にさせる方法&声かけの記事で詳しく解説しているので、興味のある方はこちらを参考にしてみてください。
対策2・正しい勉強の仕方を身につけさせる
正しい勉強の仕方とは、できないことを確実にできるようにするための勉強法です。勉強とはシンプルで「できない」を「できる」に変えたら、自然に点数は伸びていきます。
「勉強したつもり」になっている人は「できない」が「できる」に変わっていないのに、自分にOKを出してしまっているのです。
「できる」に変える方法さえマスターすれば、勉強した分だけテストの点数につながります。
ここは大事なので、もう一度。
「できる」に変えていなから「勉強したつもり」になって、思っているほど点数が取れないのです。そうして「やってもムダ」といった間違った思い込みが生まれてしまうんですね。
「勉強しても自分にはできそうにない」と感じている方は、この対策の優先度を上げてください。
こちらの記事では成績が上がらない原因になる間違った勉強法と対策について解説しているので、一度チェックしてみてください。
対策3・基礎学力を取り戻すサポートをする
次の定期テストで点数を取るためには、そこまでに必要な知識を取り戻しておかなければなりません。
卵がないのにオムライスは作れません。
それと同じで、方程式の解き方が分かっていないのに、連立方程式は解けないのです。目の前の定期テストで点数を取ろうと思えば、これまでに習った範囲をしっかりと定着させておかなければなりません。
では、基礎学力を取り戻すために、親にできることはあるのでしょうか?
これは勉強そのものへの「直接的」なサポートですので、正直なかなか現実的には難しいはず。ただでさえ忙しいはずし、そもそも「中学校の内容なんて忘れた!」って方がほとんどだと思います。
現実的には、外注するしかないんですよね。
もっともてっ取り早いのが塾です。塾は勉強内容を「直接的に」サポートしてくれますし、分かっていないところを分かるようにしてくれます。
塾の良いところは「強制力」が働くところ。目の前に先生がいるので集中せざるを得ない状況を生み出せます。
一方で、先生がいなくても自分で動画を見れば大丈夫という方は、オンラインの動画講座も選択肢に入ってきます。
動画講座の良いところは、費用を安く抑えられるところですよね。でも、その分「強制力」という意味では弱いので、これはご本人のやる気に左右されます。
このあたりはトレードオフなので、どちらを取るのかはお子さんの状況とお財布の状況によって決めてください。
中学生の成績が悪いとき親がしてはいけないこと
細かい話をすればキリがなくなってしまうので、ここでは本当に大事な2点だけ。実際にこれまで1000人以上の中学生をサポートした経験から、本当に大事なものだけに絞ったら、この2つになります。私自身も、レッスンをするときに注意していることです。
これをやってしまうと、やる気も信頼関係も失うので、絶対に次の2つだけは避けてください。
- 成長を認めず結果だけで評価する
- 自分で行動を選択させない
成長を認めず結果だけで評価する
人のモチベーションを最も高める方法は「自分が前に進んでいる感覚」を実感させてあげることです。最近、クローゼットの整理をしていたのですが、ひとつずつ片付いていくごとに、どんどんやる気が出てくるんですよね。
これは前に進んでいる感覚を自分で感じているからです。目に見えて片付いていくので、次のやる気につながりやすいわけです。
勉強もこれと同じで、とにかくやる気を引き出したいなら「やった分だけ伸びる」と実感させてあげることです。
しかし、勉強の場合はテストの点数だけで評価を決めがち。本当は成長しているのに、テストの点数だけで評価すると、お子さんは成長を実感できません。これでは次のやる気につながるはずもなく、さらなる悪化を招くだけ。
成長している部分にしっかりと目を向けて、結果で評価するのは絶対にやめてください。
自分で行動を選択させない
いわゆる「おしつけ」ですよね。度が過ぎると「過干渉」と言われる接し方です。これもまたお子さんのモチベーションを下げる大きな原因です。
心理学で『自己決定理論』といわれる人間のモチベーションについての研究があります。
人のやる気を高めるには、
- 自律性
- 有能感
- 関係性
といわれる3つの要素があるとされているんですね。大雑把に言うと、
- 自律性:自分で何でも決めたい!
- 有能感:自分の能力を認めてほしい!
- 関係性:人と仲良くしたい!
という感じ。これは人の根源的な欲求とされています。
「おしつけ」をすると「自律性:自分で何でも決めたい!」欲求が満たされないんですね。欲求が満たされないことに対してやる気なんて出るはずもありません。
なので、あらゆる選択の最終決定権はお子さんにあるべきなのです。どの問題集を使って勉強するか?どの科目を勉強するのか?いつまでに何ページやるのか?そもそも勉強するのかどうか?まで、すべての決定はお子さんがすべきです。
結果的に「全然勉強しない」のであれば、そもそも勉強する意味を感じていないなど「やる気」に原因があります。対策1を先にしておくべきですね。
まとめ
中学生の子供の成績が悪いとき、親がつい焦ってあれこれ対策を取ってしまわないように、落ち着いて行動してください。
大まかに流れを整理しておくと、
- 点数が悪い原因を見つける
- 点数が悪い原因に応じた対策を取る
という2ステップです。
点数が悪い原因は、
- 基礎学力不足
- 勉強の仕方が悪い
- 勉強量が足りていない
のいずれかです。
これらの原因を解決する対策としては、
塾などで勉強内容について直接的にサポートする手段を用意する
「できる」状態にもっていく勉強法を身につけるサポートをする
勉強量はやる気に由来するので、やる気を失う5つのカベをクリアするサポートをする
などがあります。
さらに、これらの解決策を実行する際には、
- 結果で評価しない
- 押しつけない
といった2点に気をつけながら進めてみてください。
成績が悪いと心配になるかもしれませんが、決して頭が悪いからと能力に原因を見いださないでくださいね。必ずそこには原因があります。
その原因をひとつずつ解決すれば、お子さんは確実に成長します。できることから一つずつ取りかかっていきましょう。